卯月「Under the Storm」


・卯月「Under the Storm」

https://kakuyomu.jp/works/16818093079295997651


 突然の雨に見舞われた語り手は、目に入った看板のある店に飛び込む。そこは、おじさんが一人だけいる喫茶店だった。800文字のホラーショートショート。

 卯月さんは、二〇一八年度の同題異話の七月号から、定期的に参加していただいております。毎度、短い文字数ながらも、鋭い落ちのあるショートショートを書いてくださっていて、いつも読むたびに唸ってしまいます。


 今回も、ひねりはあるものの、ストレートなホラーであります。わたくし、こういう理不尽怪談は好きです。大好きです。加えて、理不尽怪談に一家言あります。

 ホラーのジャンルの中には、因果応報的なものもあります。悪いことをした人が、恐ろしい目に合うというような。もちろん、そういうのもいいんですが、ホラーの神髄とは、無辜の犠牲者にあり、と思っている部分もあります。


 ジョジョのスタンドの被害者に、犬や猫が出てくることがあります。可愛いワンちゃん猫ちゃんを、こんなにひどい目に表せる恐ろしい奴、というディスプレイとして、非常に優秀な表現方法だと思っています。まあ、ホラー映画で、動物の安否を心配する人の気持ちも分かるのですが。

 事故とか病気とか天災とか、何で悪いことをしていないのに、こんな目に合うんだろう、というのも、ホラーのメタファーの一部だと思っています。そして、無辜の被害者であればあるほど、「今度こんな目に合うのは、私かもしれない」という恐ろしさが高まっていくのも、たまらないです。



















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