四谷軒『いつまでも輝く母へ ~「子供の将来の運命は、その母の努力によって定まる」~」』


・四谷軒『いつまでも輝く母へ ~「子供の将来の運命は、その母の努力によって定まる」~』

https://kakuyomu.jp/works/16818093076545160995


 十八世紀のフランス、コルシカ島にて、女手一つで子供たちを育てているマリア。特に、息子の一人のナブリオには、その喧嘩っ早さから手を焼いていた。フランスで一時代を築いたある男と、その母親との関係を描いた歴史短編小説。

 四谷さんは、二〇二一年度の同題異話から参加していただいています。先月の「真新しい靴がステップ」では、竜馬と薩長同盟のお話でした。


 今回は時代も場所も大きく変わります。以前の同題異話の時から思っていますが、四谷さんの視線の広さ、造詣の深さには、毎回唸ってしまいます。私は、歴史の知識は浅く狭くといいますが、卒論で調べた芥川のことしか詳しくないので、毎回素直に「すごいなぁ」と思います。まあ、その芥川のことも忘れつつありますが……。

 えー、レビューコメントでは、誰が主題なのかは伏せております。「十八世紀のフランス」の時点で、だいぶ絞られますが、あらすじでは書かれていないので。こちらでも、具体的な名前を出さずに書いていきます。


 マリア母さんの性格ですが、竹を割ったようなすがすがしさで、まさしく肝っ玉母ちゃんです。喋り方も相まって、なんだか、ジャイアンのお母さんをイメージしました。いや、マリア母さん、かなり美人のようなんですが。

 ほか、子供たちの呼び方が「マンマ」とふりがなが書かれていたり、得意料理がブイヤベースやチーズの一種のブロッチュだったりと、そこら辺にルーツを感じます。あちこちを渡り歩いた家族だからこそ、身についたものを大切にしていたのかなと思います。


 本作はナブリオとの関係が中心だったのですが、他の子供たちや人々からの愛されていたのだと分かります。それも納得できるほど、魅力的な方でした。

 ところで、私がレビューを書く時のキャッチコピーで、「全ての男はマザコンである……皇帝も例外ではない」にしようかと思ったのですが、さすがに身も蓋もなさ過ぎるかぁとやめておきました。「幼少期から没落まで、照らし続けた母さん」にしたのですが、もちろん、こちらにして良かったです。
















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