尾八原ジュージ「真新しい靴がステップ」
・尾八原ジュージ「真新しい靴がステップ」
→https://kakuyomu.jp/works/16818093076468800186
ウカレネズミの革で靴を作る、腕のいい職人だった語り手の祖父。しかし、ウカレネズミの数が著しく減ったいたため、狩猟を禁止されてしまう。架空の国の架空の動物について描かれた手のひら童話。
またまた書籍化作家さんに参加していただきました。今回は、去年のカクヨムコンでホラー大賞を採った『みんなこわい話が大すき』の作者である尾八原ジュージさんです。同題異話の初参加は、二〇二一年の八月号……だと思っていましたが、四月号から参加していますね! そもそも、私もちゃんと読んでる! 勘違いしていたのか、お名前を変えたのかは分からないですが、もし前者だったら、申し訳ないです。失礼致しました。
改めまして、本作の参加作について。レビューには「童話」と書きましたが、「寓話」なのかもしれません。「人間は愚か!」と言える話なのですが、本作はそこに切なさとやるせなさがスパイスされています。
架空の事象のお話ですが、思いつく実際の事例はいくつも思い浮かびます。リョコウバトとか、ステラーカイギュウとか。しかし、そのリョコウバトやステラーカイギュウを捕まえる人とは別に、加工したり料理したりする人がいたので、いなくなったらその人たちの生活はどうなるんだ? という部分にクローズアップされています。
今回は一例として、一人の職人さんの人生が描かれています。その職人さんの孫で弟子という、彼を一番近くで見ていた人物の語りなので、その葛藤がより伝わってきます。個人的には、職人さんのことを責める気持ちはないのですが、でも……と色々考えてしまいました。
そして、ウカレネズミという聞いたことのない単語ながらも、心惹かれる動物名が素敵です。そのウカレネズミの生態や革で作った靴の詳細も細かく描かれているので、想像を膨らませ、私たちも見たいと思わせます。「ウカレネズミ」という名前の由来は不明ですが、ここからきているんだろうなぁと想像させるところも素晴らしかったです。
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