7日後に、君は。
かおささ
0.5日目 出会い
「今日転校生が来るってさ」
「それマジかよ?こんなど田舎の高校に?」
「やった〜!KPOP好きかなぁ〜KPOP〜」
俺たち3人は子供の頃からずっと一緒だった。小・中・高と進学してきて、一緒に風呂にも入った中だ。でも今はまだ知らないだけだった。この先、この関係が意図も簡単に壊れてしまうということを。
「藤原 凪といいます。これからよろしく…お願いします?」
転校生は不思議そうな目でこちらを見ている。
「人数、少ないでしょ。この村、限界集落寸前で、この高校、俺たち3人しかいないんだ。あ、でも藤原さんが転入したから4人か。」
「よろしくね〜私は佐々木 由里子。隣のが天野 慎二。チャラいけど悪いやつじゃないよ〜 で、さっきこの高校の紹介をしてくれてたのが、芹沢 紘だよ〜」
由里子が凪に俺たちを紹介すると、慎二が少し不満そうな顔をした。
「チャラいは余計だろー。こー見えても頭いいんだぜ!凪ちゃん!どー思うよ、俺のこt…っって!急に頭をバカスカ殴るな!脳細胞死ぬだろ!」
凪に変な誤解を生ませそうだったので躊躇なく止めに入った。
「凪が困ってるだろ。そのくらいにしておけ。」
「そうだ!この村の場所とか、凪ちゃんは全然知らないでしょう?だから私たちと一緒に村を見て回るのはどうかなぁ?」
「ありがとう!学校に来る時も少し迷っちゃったから助かるよ!」
俺たち男子組は顔を見合わせた。
「そうと決まれば出発だな。日が暮れる前までには入波洞窟まで案内したいし」
「そーだな!」
俺たちが暮らしているのは「入波村」という村で、飛騨山脈の一角に位置している。村にはいくつか地域に分かれており、一条地域、二木地域、三矢地域、四葉地域、五輪地域、六角地域、七草地域の順である。
「さっきも言った通り限界集落なんだ。高齢者は多いけど子供は少ない…少子高齢化の代表例なんじゃないかな。」
「私たち以外に若い人はいるの?」
「はいは〜い。私には一個下の妹がいるわ〜 凪ちゃんには今度紹介するわね〜」
話しをしながら全ての地域を回り終わり、最終目的地に到着した。
「ついたなー。入波洞窟!」
凪が不思議そうな顔で『洞窟があるの?』と尋ねてくる。
「うん。ここは七草地域の中心にある洞窟で、奥に七草神社っていう小さい神社があるんだ。行ってみようか。」
日が暮れてきたため、携帯電話のライト機能を使って足元を照らしながら進む。凪が震えているように見えるのは気のせいだろうか。それとも…
「「ついた!」」
慎二と由里子が声を揃えて言う。
「ぼろぼろの鳥居…結構歴史がありそうだね。」
「うーん…じいちゃんが言うには150年前の大噴火の前からあるとは言ってたんだけどなぁ」
「大噴火?」
「うん。この村の周りってドーナツみたいに円に縁取られてるでしょ?こーゆー地形の事をカルデラっていうんだけど、この村はその中心…つまり火山の火口に位置してるんだ。」
凪が、え?噴火しないの?的な目で見てきたが、確か入波山は死火山…だったはず。
「なんか中空っぽそうだけど、中には何も祭られてないの?」
「あー、それも噴火の時に御神体が消えたらしくて…今は何も祭られてないんだ。」
「ワンチャン入ってるかもだろ!開けてみようぜー。」
「あ、ちょっ…」
罰当たりだぞ! と声が出るよりも先に慎二が御神体が収めらていた箱を開けた。
瞬間だった。
地面が揺れる。俺たち4人が立っていられないほどに。洞穴が崩れ始めた。頭上から岩が落ちてくる。みんなの姿が視界から消えた。その時、夢を見た。その夢がどんな内容だったか…今ではもう、思い出せない。
「う…ん、生きてる…のか?」
洞穴の中で生き埋めになったはずの俺たち4人は、何故か洞穴の外で気を失っていたみたいだ。
「みんな大丈夫?」
「ああ…何が起きたんだよぉ…ったく…」
「怖かったねぇ、でもあんな大きな岩に押しつぶされたのに、なんでわたしたち傷一つないんだろう?」
確かにそれは疑問だ。普通に考えるなら俺たちは死んでる筈だ。
「みんな…見て…」
凪が声を押し殺して言う。そして俺たちは絶望する。入波村の真ん中に位置する一条地域があった場所が大穴となって消えていることに。
7日後に、君は。 かおささ @yumasasaoka
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