五十路女とホストクラブ

第5話 願い

私の願いはホストクラブの撲滅だ

なんと矛盾しているんだろう

立ちんぼ、パパ活、風俗……

ホストを取り巻く女性たちのニュースに胸を痛める

ホスト系YouTubeが好きで、かなり見ていた

いや、今も見ている

何千万、何億という大金を惜しげもなく使うマダムたちが羨ましくもあった

縁のない世界だった

ほんの一片だが知ることができ、私は満足している

ホストへの偏見はなかった

事実、私なりに楽しかった

整った顔立ち、身なりにも気を使っている

肌も綺麗だ

それは薄暗さの成せるまやかしだったのだろうか

昼夜逆転生活にアルコール漬け

体はボロボロだろう

嫌な客にも向き合わなければならない

従業員同士の売上争いにも疲弊するだろう

ホス狂の女性たちも依存から抜け出せず

大切な体を犠牲にせざるを得ない現状が多すぎる

第三者に立ち返った今、

人生を大切にしてほしいと心から思う

余計なお世話なのは承知している

夜の世界でのしあがることを夢見ていてる姿を目の当たりにしたのだから

満たされた表情を浮かべている女性客の姿も偽りではなかった

私は声高に言いたかった

皆平等に歳を取るんだと

分かりきっているだろうが、念を押したかった

ホストクラブの撲滅を願うことはややオーバーだろう

働く場所、訪れる場所としての価値もある

せめて在り方が変わってくれるといい

おばさんだって若い人との交流を楽しみたくなる

気軽に来てくださいという場所であってほしい

大金を払わなければ楽しめない歪な世界は、あとどのくらい続くのか

行かなければいい

そもそもはそうだろう

分かっていても

甘美なものに

多くの人が興味を持つ

抜け出せなくなる

Rのことはどんな思い出となるのだろう

どんどんと増えていく年齢に反して

思い出す機会は減るのだろう

それでいいのだ

目の前の小さな幸せに目を向けて

余生を送るのだ

そこには冒険はない

それでもいい

たくさんのホストたち

ホス狂をやめられない女性たち

あなた達が歳を重ねた時

どうか幸せであってほしい

五十路女のおせっかいな願いだ