嵐の次に
嵐のような男が去った。残り香だけが後を引く。
「また今夜」その言葉に
彼が去った瞬間、
「また今夜…って、なんだい…?毎夜会ってる、ということかい…?見ず知らずの男と…?」
最愛の人を無くす不安から、指先をガクガクと震えてしまっている。
そんな彼の様子を察した
「んーん、私は行かないよ。確かにあの人は何処かで見たことのある顔だけど…夜はあの人のとこには行かない。店番もしなきゃいけないし!だから安心して?」
牡丹が華開くかの如くふわりと微笑む
「そう…かい…?ならいいのだけど…」
安心したように胸をなでおろすと、彼女にマーキングするかのように持っていたお香の粉を
刹那、彼女の白い手を取りその場で踊りだすかのようにクルクルと舞った。朝焼けに舞う蝶のように、春風に揺れる桜の花びらのように。
急な彼の香りに包みこまれた
狭い店内だが、二人だけの空間が生まれて心がポカポカと暖かくなるこの瞬間が、たまらなく好きだ。
「今度あの男が来たら直ぐに僕を呼んでくれ、使いの者も連れて飛んでくるよ」
彼女の髪にキスを落とせば、夕焼けに沈む太陽のような優しいまなざしを向けた。
同じ香りを纏った
『う、うん…』
心強いな、と嬉しそうな笑顔を
「…何よ、
金木犀と蓮に牡丹。それから、溺愛してくる龍神の鱗。 梵 ぼくた @ututzoku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。金木犀と蓮に牡丹。それから、溺愛してくる龍神の鱗。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます