第17話 ドワーフたちと作戦会議
「さて、どう復讐していくかだが……」
俺は屋敷の小さめの広間に机を持ってきて、ドワーフたちと両親に対する復讐の作戦会議を行おうとしていた。ちなみにこの大きめの机はドワーフたちに運んでもらった。流石は小さいながらに力持ちな種族である。おかげで楽ちんだったぜ。やっぱり人に使われるより人を使う立場が俺の目標だな。
机を囲んでいるドワーフたちを俺はぐるりと見渡して、さらに続けて言葉を発する。
「どうせうちの両親のことだ。隣国のアガトス王国の王都あたりで、転売したお金をぱあっと使って豪遊していることだろう。まあ放っておいてもすぐに自分の首を絞めて終わりそうだが、やはりここは俺たちで手を下したい」
俺の言葉にドワーフの老人たちが同意するように、そうだそうだと声を上げた。まあ便宜上俺たちと言ったが、俺は一切働く気なんてないんだがな。作戦だけ考えて、後はドワーフどもに全て任せるつもりだ。くくくっ……おまえらはもう俺の手のひらの上で転がされる立場なのだよ。しかも自ら気がつかないままな……。
「しかしだ、単純に物理で手を下してしまえば、俺たちが悪者になってしまう。一応向こうは安く買い叩いて転売してただけだからな。悪意を持って近づいたとはいえ、向こうの国でもおそらく法に触れるようなことはないだろう」
それを聞いたドワーフどもがしょんぼりとし始める。自分たちの愚かさを突きつけられて落ち込んでしまったか。まあ、すぐに俺にも欺される予定だから、落ち込んでいる暇なんてないぞ。悪者になってしまう、と言ったが、俺はすでに悪者なのだから。と、そんなことを心の奥底で考えながら、表ではドワーフどもに共感するように怒り机に拳を叩きつけた。
「だがッ! 真摯に武具を作っていただけの貴方たちを騙し、あくどい商売をするなんて俺は許せない! そこで、こちらが悪者にならずに向こうを糾弾する方法を考えなければならない」
俺が言うと、ドワーフの一人が手を上げて尋ねてきた。
「……そこまで考えてるってことは、もしかして作戦ももうあるのか?」
「ふっ……良いことを聞く。もちろん、作戦はもう考えてある! 俺に任せろ!」
テンションを上げて俺がそう熱弁すると、ドワーフどももテンションを上げて雄叫びを上げた。そのせいで最近整備も出来ていない屋敷がグワングワンとたわむ。それを見たドワーフどもが慌てたように言った。
「ルーク様! この屋敷ってどれくらいから整備してないんだ!?」
「う~ん、もう四年ほどになるのか?」
転生以前の記憶をまさぐってみると、確かそのくらいに整備士が来ていたが、それ以降は一切整備士を見ていなかった。ってことは、やはり四年間も放置されていたってことだ。それを聞いたドワーフどもが難しい顔して言った。
「しゃあない! もし復讐が上手く成功できれば、オレたちがこの屋敷を新品同然に建て替えるか!」
「おお、それは助かる」
くくくっ……上手い具合に洗脳できているな。自ら無賃労働を申し出るとは。やはりこの恩に着させてただ働きさせるってのが一番効率よさそうだ。とと、そんなことより、今は作戦を話してしまおう。
「それで、肝心の作戦なのだが――」
俺はこうして作戦を話し、ドワーフどもから同意を得ると、後は全て任せるだけ……
「さあ、ルーク様! 早速、復讐に行きましょうぞ! ルーク様も今までの鬱憤を全て晴らす必要がありますからな!」
…………え?
マジ?
鬱憤なんて、そんなのないけど?
俺、絶対に行きたくないんですけど?
悪役に転生した俺は、悪虐の限りを尽くしたい AteRa @Ate_Ra
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