対少女編Ⅷ

「抵抗したりしないのか?」

「そんな事をしたところで何かが変わるの?」

「確かに」


男は納得したのか、笑ー手術台の上にいる彼女に笑顔を見せると直ぐに近くに置かれた機器の操作を始めた。

しばらくして操作を終えた男が手のひらに魔法陣を展開して彼女へと近寄った。


「じゃあ、さようなら」


男の手がゆっくりと永原の額へと近づいていく。

先程まで強い言葉を発していた彼女は恐怖心から無意識のうち男の手から遠ざかるべく自身の頭を横にずらしていた。


「もう一度、もう一度だけあの人に、会いたかった・・・・」


彼女の瞳から涙が溢れた。




「ザンッ、ザンッ、ザンッ」




突然鋭い音とともに何かが彼女の頬ギリギリで上を通過した。

向かいの壁には恐ろしい獣の爪のような三本の細く、鋭い傷ができていた。

彼女が先程まで感じていた人が近くにいるという感覚も今はない。

彼女の目に少し離れたところにいる男が映っていた。

どやら男も、壁にあんな鋭い傷をつけた何かを避けるために離れていた。


「やはり君だったか神座透、操作できてた感覚が無くなったなあと思ってったらやっぱり・・・・。もしかして、殺した?」

「・・・・」


透は黙ったまま鋭い目を向けて睨みつけた。


「怖い顔をしないでくれ、僕は君と敵対するつもりはない。ただ僕に求める物があるってだけで別に永原?彼女のことも殺す気はない、ただ少し彼女の頭の中にあるものを見たかっただけなんだ。だから・・・・」

「・・・・」

「戦わないっていうのは、・・・・無理そうだからじゃあ」


そう言って男は素早い動きで胸の内ポケットから銃型のマジックストックを取り出した。

それを見て透は少し前の夜道での出来事を思い出した。


先生の家から帰る時に戦った時のあの仮面男が持っていたのと似てるな。ということは中にs格納されている魔法は軍事用規模の第三段階とあの訳がわからないほどに馬鹿でかい魔法陣で発動するタイプのやつの可能性が高いな。


「君にはもっと色々なことを試したかったんだが、ここまで来たらやるしかないか」


男はマジックストックの引き金を引いた。

銃口から弾丸が発射され、続いて弾丸内部に格納されていた魔法が展開を始めた。

それはそのまま凄い速さで透へと直心した。

弾丸内部からはだんだんと黒い何かが巨大化していき透を飲み込もうとした。

だが透が足を前に一歩踏み出すと、彼を飲み込もうとしている黒い何かは散り散りになって消えた。

男はその現象に一度体をさがらせたが、舌打ちをして再び目に出て、今度は続け様に数発の弾丸を発射した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔法を使えるようになった現代で目指すのは彼女との生活 涼梨結英 @zyugatunomochituki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ