第21話 悲鳴
「これは推測でしかないけれど、ほぼ間違いないと思う」
色鮮やかな
師匠はこちらに向けておもむろに右手の甲を突き出してみせた。そこには、逆三角形の青黒い模様【
「私たちはこの一つの【
師匠の問いに、俺は頷いた。
「じゃあ、この【
「それも知ってます。『
「よく勉強しているね」
「でも、このことと協力者がいること、何が関係あるんですか?」
師匠に褒められるのはとても嬉しいが、それがなぜ協力者と結びつくのか理解できなかった。首を傾げて
「【
「え」
「概念の支配や、ウォルフのように他人の【
「…………」
【
「俺たちが『
「そうだね。そして、それはどれも【
「おそらくウォルフ・テインは、『
だから、協力者の存在が浮かび上がる。ウォルフだけでは起こせないことが少なくとも2つは起きているのだから、
「これから仲間を集める時、ウォルフの協力者が紛れる可能性を私たちは考えなきゃいけないわけだ。……まあ、協力者なんだから、浮いてるフットレストにいる可能性の方が高いけどね」
師匠は気怠げ肩を
「……さて、私から注意するべきことはあらかた伝えた。異論がなければ予定通り仲間を探しにいくよ」
「は、はい!」
言うが早いか、師匠はスタスタと歩みを進めていく。置いて行かれまいと、慌てながら距離を詰めようとしたが、俺はすぐに歩みを止めることになる。
その原因は、ルアさんだ。俺の前を歩くはずの彼女がなぜか、そのばで身を竦めて動こうとしないのだ。
「ルアさん……?」
不自然に思って俺はルアさんの顔を覗き込んだ。
すると、彼女の顔には焦りが浮かんでいた。何か思いつめた様子でじっと、師匠の方を見ている。
「大丈────」
と、彼女の調子を確かめようとしたその時──。
「うわああああああああああああああああああああっ⁉︎」
「⁉︎」
突如、遠方から聞こえてきたのは、男の悲鳴。
「師匠!」
「わかってる!」
師匠の返事を聞くより先に、俺は駆け出していた。
後方を見れば、ルアさんも走り出している。柔らかい砂の地面に普段より足を取られることを実感しながら俺たちは悲鳴が聞こえてきた方向へと向かった。
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