第20話 『回る天穿樹の大地』
──『回る
それは踏破者たちにとって最も馴染みのある『
その理由は単純で、フットレストから『
よって、自然と
だからこそ、『回る
そして、最も
その最大の原因はたった一つ。
『回る
『
しかし、『
──そう、この現象こそが、今俺が体験しているものの正体だった。
「──っ‼︎」
『
しかし、たった一瞬。瞬き一つにも満たないうちに、その光景は様相を変えてしまう。
乾いた熱地は、サラサラとした柔らかい砂の地面へ。炎を
そして、何よりを目に映る光景で目を引くのは、空を『泳ぐ』魚たちだ。
俺はこの場所を知っている。
何故なら、『未踏領域』で過した10日間で、俺は何度もこの場所に来ているのだから。
まるで、海の中に迷い込んでしまったかのような光景を作り出すこの場所の名は。
「──『
名が指し示す通り陸の海。『回る
「ほらナユタ。何をぼーっとしてるのさ」
俺の遥か上空を優雅に泳ぐ空遊魚たちを呆然と眺めていたら、横合いから師匠の声。
「早くルアを連れて移動するよ。ここでただ突っ立てるだけじゃ危険すぎるからね」
「あっ……、そうですね」
師匠の言い分もっともだ。このままでは空遊魚に襲われるのを待つだけになってしまう。
俺はすぐさまルアさんが座り込んでいる方向へと振り返り、彼女の下へと足早に向かった。
「『回る
師匠の先導の下、ルアさん、俺と続きながら砂地を歩いていく。
「さっきまでいた『
俺たちは今、できる限り隆起している岩を影にしながら歩を進めている。
周りを泳ぐ
「……もしかして俺たちって、かなりやばい状況にいます? 『
「ああそうだね。かなりまずいよ」
あっけらかんとした調子の答えだったが、俺を不安にさせるには十分な効果を持っていた。
ふと上を見てみると、岩陰から1mは有に超えている巨大な魚が出てきて、俺の頭上をスルリと通りすぎていった。あんなのが、縦横無尽に泳ぎながら襲ってくるのが、『
だからこそ、『
「でも、ここだからこそできることもある。ルア?」
「は、はい!?」
「ここ『
「えっ!? ……えーっと……?」
師匠からの質問が来るとは思ってなかったらしく、明らかに
「
「ああ、すまない。私の言い方が悪かったね。もっと単純でいいんだ。例えばここの地形についてどう思う?」
「ち、地形ですか? えっと、え〜っと」
師匠の圧がちょっと強い。
ルアさんが焦りながら必死に答えを探そうとしている。
「……ここはかなり開けた土地だと思います。森とかがないので、見晴らしがいいです」
「うん、そうだね。その通りだ。よく見ているね」
「どういうことですか、師匠? 開けた土地ってことは魔物にみつかりやすいってことだと思うんですけど……」
師匠の意図がわからず、俺は彼女に質問する。
師匠はこちらには振り向かず、警戒のため辺りを見回しながら、答えてくれた。
「見晴らしがいいってことは何も
「さ、探しもの……?」
「ナユタ、あの空に浮かぶフットレストから落ちたのは、私たちだけかい?」
「違います。あの時は、街にいた人が多分ほとんど落とされて…………あっ!」
「気がついたようだね。私が探しているものに」
師匠が探しているもの。それはつまり──。
「フットレストから落ちた
「うん。正解。まあ、もっと詳しく言えばガイアンを探してるんだけどね」
「…………!」
「ルアさん……?」
おやっさんの名前を出した時、何故か前を歩くルアさんの体が強張った気がした。
何か気がかりなことでもあったのだろうか?
「……つまり、私たちは仲間を集めるんだ。聞いてるかい、ナユタ?」
「あっ……はい、すいません」
「この見晴らしがいい『
「だから、戦力として期待できるおやっさんですか……、でも、おやっさんは……」
俺と師匠は見てしまった。おやっさんがウォルフ・テインに【
「大丈夫だよ、ナユタ」
ふと、いつもより優しげな師匠の声が耳に届いた。
「ガイアンは『
「師匠……」
確かに、おやっさんなら敵に【
「ホントに大丈夫ですかね……」
「……大丈夫だよ、多分……」
心配になってきた。
「まあ、とにかく私たちはこの『
「なるほど……」
師匠の言う通りだ。そうすれば、ウォルフを倒す確率も、安全に帰れる確率もグッと増すはずだ。
「だけど、これにはたった一つ、注意しなきゃいけないことがある」
だが、俺の感心をよそに、こちらを振り向いた師匠の面持ちは神妙だった。彼女は人差し指を立て、その手をこちらへと突き出して、言った。
「ウォルフ・テインには、
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