第11話 『地平を喰らう者(オリゾン・イーター)】
見上げた視界の先、通り沿いの建物の屋根の上、炸裂した斬撃がガイアンを切り刻んだ。
「おやっさん‼︎」
黒い
ガイアンと黒
視界の先で起きたことは説明できるが、ナユタには何故そうなったのか全く理解ができなかった。
「【
だが、ナユタにおぶられていたテルルが、男が持つ力を看破する。
「【
「【
「おそらくあの男の【
「そんな力、反則じゃ……」
「ああ、決して万能ではないけれど反則さ。──でも、反則の力を持っているとわかったらあの大通りでの大立ち回りにも納得ができる」
つまり、二色の髪を持つ男は自らの犯行を自慢したくて、大通りで名乗り上げたのではない。
「自分の能力となる【
テルルの推察を聞いて、ナユタはゾッとした。師の推察が正しければ、道へと落下したガイアンを屋根から見下ろす男は、そこまで考えて大多数の
「まずいぞ……ナユタ。あの男の標的になる前に今すぐここから離れるんだ!」
「でもおやっさんが──」
「──っ。……他の人のことに構ってる余裕なんかない! 私が言った通り、街の端を目指すんだ!」
だが、ナユタはこの場を離れることができなかった。
視界の先には、血塗れのガイアンが倒れている。彼を見捨てて
しかし、男はナユタたちを気にも留めていない。それどころか、ガイアンにももはや興味を示していない様子だ。
「準備は整った」
男の低く、落ち着いた声がナユタに届いた。
周りにいる踏破者たちにも同様に、声が響く。
「俺の名はウォルフ・テイン。君たちの力を糧に、最悪の3人を討つ男だ」
宣言と共に、黒
「眠る前の最後の仕事だ『
彼の呼びかけに応える影があった。それはとてつもなく巨大な生物だった。
まるで、刃に切られたかのように細く切れの長い眼に、鋭くも大きい鳥のような
龍のようにも見えるそれは、途切れた街の端からゆっくりと顔を覗かせた。
「『
ナユタは驚きを隠さず、その名を口から零した。8年前の記憶が頭の中で蘇る。サイズこそ小さくなっているものの、突如現れた巨大生物は間違いなく『
8年前に起きた『
ナユタ自身『
『
「『
ウォルフの言葉だけが、この場を支配していた。
彼は、言いたいことを言い終えたのか、視線を上に向けると、『
「さあ、この切り取られたフットレストにいる者たちを吹き飛ばせ」
下された指示に、『
街を見下ろし、口を大きく開け放つ。──そして。
『──ギィイアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ‼︎』
鼓膜を破らんばかりの叫び声を街全体へと響かせた。
その声は、爆発的な風となって、街を駆け巡った。ナユタには、吹き荒れる強烈な風から逃れる術など何もない。一瞬にして、ナユタは風とぶち当たった。抵抗することも許されず、暴風に巻き込まれ、足が地面から離れた。
そこから先はあっという間だった。『
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