第8話 授業の始まり
「俺はもう一度、ここで『
彼の言葉が、合図となった。
ガイアンと黒い
ガイアンは、腰に
それぞれ一瞬にも満たない時間で距離を詰め、両者は激突した。
「ざけんな、てめぇのために死ねってか」
「いいや、犠牲と言っても、それは死ではない」
「あん?」
「俺の『
【
それは、
尚も続く刀とナイフの
しかし、拮抗する力と力のぶつかり合いは乱入者によって終わりを迎える。
「──オラァッ‼︎」
突如、
が、男が放った剣は
飛び退き、
その着地の際。
「はあっ!」
遠巻きにいた
手に持った、『水が咲く枝』から巨大な水泡を発射させ、着地直前の男に叩き込む。
そう、ここは
ナユタとガイアンを賑やかしていた観衆も、二色の髪を持つ男の演説を聞いていた聴衆も、力なき者たちではない。
彼らもまた、そのほとんどが
その中で、男はまるで自分がこの異変の犯人だと名乗り上げるような演説をした。
そんなことをしてしまえば、異変に巻き込まれた
現に彼は、ガイアンだけでなく、二人の
圧倒的な数の不利が、常に彼にはつきまとう。──だが。
男は、放たれた水弾をナイフ一本で斬り落とした。
空中で腰を限界まで捻り、解き放つことで無理やり遠心力を生み出し、水弾にも負けない威力を作り出したのだ。
「なっ──⁉︎」
水弾を放った女性の顔が驚愕に染まる。
驚く女性をよそに黒
彼が先ほど着地した場所には風の渦や炎の斬撃がぶつかり合うが、男を捉えることはできていない。
「そうだ。それでいい」
言いながら、男は群衆の頭の上を飛び越して、大通り沿いにある家の壁を蹴り、その屋根の上に足を乗せる。
「この異変を起こしたのは俺だ。解決したい者は俺を狙ってこい」
高所から群衆を見下ろしながら、男は明確に宣言した。
異変の首謀者は自分であると。
そのことが、彼を見上げる
「上等だコラ! ぶっ潰してやるよ‼︎」
「奴を追え! 絶対に逃すな!」
踏破者たちは荒々しい怒号を上げ、男を追い始める。
ある者は大通りを走り、またある者は、彼と同じように屋根の上に上り、男を追う。
異変の首謀者を追い、ほとんどの者が『大家族』前の大通りから姿を消した。
その大通りで、動けずに佇む人々の中に、ナユタはいた。
(速すぎる……)
異変の主犯を名乗る男と、ガイアンを含む
先ほどの騒音が嘘のように、吹き抜ける風の音だけが大通りを支配する。
立ち尽くすナユタだったが、ふと背中に手が当てられている感触を覚えた。
首だけを動かして振り返ると、そこにいたのは癖のある髪を膝裏まで伸ばした小さな少女。
「師匠……?」
「何をしてるんだい? さっさと私たちもあいつを追うよ」
「え? ……でも、俺じゃ戦えないですよ?」
「そうだね。でも、戦闘の観察ぐらいはできると思う」
「観察?」
「うん、そうだよ。君も【
テルルの意図がわからず首をかしげるナユタに対し、テルルはナユタを見上げながら口を開いた。
「【
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