最終話:ねえ、エッチしよ!

「ネル帰るぞ・・・さっき見たことをジャンクショップのMに報告だけでも

しとかなきゃ・・・報酬もらえないからな」

なもんで、俺はまたネルをバイクに乗せてジャンクショップに向かった。


俺はネルと一緒にMのジャンクショップにやって来た。

ネルを連れて店の中に入ると、カウンターの上に猫のQがいた。

Qは俺とネルの顔を見ると、ニャ〜って一声鳴いた。

そしたら、店の奥からMが出てきた。


よくできたシステム。


一応何があったか俺はMに報告した。

それを聞いてMは、満足そうに分かったってふうに頷いた。

いったい、あの倉庫で何が起きてたのか聞いてみた。

そしたら


「本当は極秘なことなんだが、ある人物の誘拐事件が絡んでたんだ」

「お前が見たとおりのことなら、俺のクライアントの要望は果たされたって

ことになるから、この案件はクリアだな」

「御苦労だったな・・・今回のお前の仕事は終わった」


「お前の後ろにいるのは、おまえの女か?」


「そうだけど・・・」


「て、言うか危険な場所にそんな可愛い彼女を連れて行ったのか?」

「だけど連れて行って正解だったよ・・・俺この子に助けられたから」

「この子ガイノイドだからね」


「あ〜戦闘用の義体か?」

「か、どうかは知らないけど、めちゃ強いからね」

「もし、俺が別れるなんて言ったら腕の骨の5本くらいは折られるかも」


「なに言ってんの・・・そんなことしないから」


「冗談だってば・・・」


「店の中でノロケはやめてくれないか?」

「ほれ、今回の仕事の報酬だ・・・受け取れ」

「おまえは信用できそうだ・・・どうだ・・・このまま、この手のバイト

続けてみる気あるか?」


そしたらネルが俺の袖を引っ張った。


「分かってるって・・・」


「ああ、申し訳ないけど・・・バイトは今回限りにするわ」

「彼女のために長生きしてやりたいから・・・」


「そうか・・・まあいい、もし気が変わったらいつでも来な」


「ああ・・・ありがとう・・・じゃ〜帰るわ」


俺はネルを連れて店を出た。

あの倉庫であった出来事の誘拐事件ってなんだろう?

バイクで走ってアパート着く頃には空が白けて夜が明けかけていた。


俺の中で今夜の出来事の興奮がまだ収まらない。


「トッキー帰ったらエッチしよ!!」


「分かってる」

「なんかさ、ヤバい仕事やり終わった後は妙にテンション上がってるな」

「思い切り発散したい気分だよな」


「だね」


そのままのモチベーションで俺はネルを抱く・・・抱きたくてしかたない。

で、疲れたまま眠りたい。


あんなヤバいバイトをやっていたらいつかは命を落とすかもしれない。

ネルのために、俺のために、これからはバイク屋の仕事だけに専念しよう。

俺が地に足をつけた生き方をすることをネルも望んでるだろう。


俺はバイクを返してネルと一緒にアパートに帰ってきた。

玄関を入るなり、それははじまった。

お互い理性を失ったように求め合った。


ネルはいつもより激しく乱れ、体力が半端ないから俺は息絶え絶えだった。

まじでエンドレスセックス・・・まったく疲れを知らない女だ。

俺はいつかネルの腹の上でポックリ逝くかもしれないって思った。

ある意味、それも男にとっちゃ幸せな死に方か。


だけど、死ぬにはまだ早い。

ネルの夢は、俺が朝、仕事にでかけて行って夕方元気で帰って来る・・・

そんな平和で平凡な暮らしを送ることをネルは望んでるだろう。

その夢は叶えたやりたい。


次の日の朝のニュースで、例の倉庫の事件のことをやっていた。

ただ、詳しいことはなにもニュースでは得られなかった。

世間に公表できないような事件だったんだろう。


おおまかな事の真相を知ってるのはワーゲンのおっさんとベスパで

やって来た、めちゃ強かったメイドのおネエちゃんと連れのニイちゃんだけ・・・。


ワーゲンのおっさんはともかく、俺はメイドのおネエちゃんとニイちゃんに

会ってみたいって思った。

あのメイドは何者だったんだろう?・・・あの子もガイノイドか?

とっても気になった。


もしかしたらおネエちゃんのほうはメイドの格好をしていたから、どこかの

メイド喫茶かもしれないな。

でも、探したところで向こうは俺とネルのことは知らないわけだし・・・。

そっとしておくのが一番いいんだろう。


それに俺はもう普通の生活に戻るんだから・・・倉庫の事件に関わった

人たちとも関わらないほうがいい。


俺はネルとラブラブで生きて行く。

ネルは俺の顔を見るたびに


「ねえ、エッチしよ!」


って言ってくる。

それがネルの口癖・・・だからその言葉は俺たちには普通のワード。

そして、今幸せだよって意味がこもったふたりだけの合言葉なんだ。


おしまい。






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100%彼女。 「ねえ、エッチしよ!」 猫野 尻尾 @amanotenshi

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