佐々木さんは全て奪われました

「凛花話聞いてるー?」

 その声にはっとする。


「ごめんごめん」


「凛花は彼氏とかできたの?」


 今は同窓会に来ていて、高校の頃のメンバーで集まっている。15人とそう人数は多くない。メンバーは昔仲が良かった人のはずなのに、正直あまり楽しくない。


「彼氏は居ないよ」

「えー首についてるのキスマークかと思った。アイロンとかで火傷したの?」

 私が質問に答える前に男性陣が話に食いついてきた。


 どんな人がタイプなの?結婚するならどんな人?俺なんかどう?もったいないから探した方がいいよ?


 耳を塞ぎたくなる。同窓会に来たのは間違えだったかもしれない。


「私達も30歳の歳だしそろそろ結婚見据えて相手探さないとだよねー」

 1人の女性がそんなことを言っていた。


 何とかつまらない時間が終わり急いで帰ろうとする。

「ねえねえ、この後2人で抜けない?」

 名前も覚えていない男性が話しかけてきた。


「ごめん。待ってる人が居るから」

「あれ、彼氏いないってさっき…」

「うん、、、彼女はいるよ」

 えっという顔をしている隙に私はその場から離れた。

 別に歩いても早歩きしても走っても彼女は私を待っていてくれる。



 ただ、1秒でも早く彼女会いたかった。



 家のドアを開ける。


 花音はすぐに駆け寄ってきて私に寄りかかるように抱きついてきた。



「楽しかった?」

 少し不安そうな声が聞こえる。


「そんなにかな…」

「嘘だ。また凛花さんモテモテだったでしょ」

 花音の私を抱きしめる力が強くなる。


「そうだったとしても、花音以外興味無いよ」


 そう言うと、花音は朝に私の首につけた印を撫でてくる。


「これ見て変な虫寄ってこなければいいのに」


 花音はそのまま私の唇を塞ぐ。次の瞬間、唇に痛みが走る。痛すぎない程度に噛まれて花音を見ると少し不満そうだ。


「痛い…」

「凛花さん私の事、置いてったからお仕置」


 そう言って私を睨んでくる彼女が愛おしくて唇を重ねる。唇を触れた先から彼女の熱を感じ、もっと欲しいと思う。


「凛花さん、こんないつまでも子供っぽい私でも好き?」

 花音の顔はすごく不安そうだ。

 その不安がどうやったら消えるかなんて考えつつ抱きしめ耳元で答える。


「愛してる」

 そう言うと私の体に回っている彼女の腕に力が入った。


「凛花さん、私も愛してます…」

 言い慣れてない言葉でぎこちない言い方がかわいくてますます愛おしくなる。


 花音が体を離して姿勢を整える。


「凛花さん、おかえりなさい」


「ただいま」


 そのまま花音を持ち上げてベットに連れ込む。


 どれだけお互いの熱が交わされたかは私たち本人も分からないくらい、幸せな夜だった。



 おかえりと出迎えてくれる彼女のそばにずっと居たい。


 どうやら、私の心も体も高橋花音に全て奪われてしまったようだ。





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佐々木さんに全て奪われました 雨野 天々 @rainten7777

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