第4話
起きたら知らない部屋にいた。
黒や焦げ茶で合わされた暗い部屋。
いや、実際は暗くないんだが、部屋の色が暗すぎて、暗いと錯覚してしまう。
本棚、パソコンの乗っている机、高そうなイス。
イスの脚についてる小さなタイヤがからから…と音をたて、イスが俺の方をむいた。
「おはよ、廉くん。」
梨愛だった。
「さて、説明してもらおうか。」
梨愛の方を向き、ずきずきする頭を押さえながら聞いた。
「まぁ、説明くらいするよ。」
2階に上がった途端なにかが頭に当たって気絶したのは覚えてる。
「麻酔銃が落ちてきたんだよね」
梨愛によると、落ちてきたのは麻酔銃とメモ。
とりあえず麻酔銃でクマを撃ち、書斎の鍵とどこかの鍵を手に入れたらしい。
メモには、
やぁ。クミマに追いかけられているかい?
このメモを見る余裕があるかは分からないけど、見といたほうがいいよ。
この銃に入ってる麻酔弾は、5発。
さらにクミマに撃つと、段々と抗体がついてくるからね、使い所を考えよう。
最初の一発では3分。そこから30秒ずつ減っていくよ。
このメモを読んでいるのが梨愛か選ばれし君かは分からないが、ま、がんばってくれ。
「ってことらしい。」
「なんかノリ軽くね?」
「しらん。」
梨愛いわく、ここは書斎で、クミマ?の持っていた鍵で開いたらしい。
つーかクミマってなんぞや。
鍵は締めておいたが、クミマの力なら余裕で開けれるらしい。死ねるよ、軽くね。
ていうか選ばれし君ってなんぞや。
「とりあえずクミマ?は書斎から音とかしないと入ってこないらしいから書斎の中漁ろうか。」
てことで漁った。
本棚、タンス、机の中……いろいろ漁った
タンスにはアルバムとか鍵付きの箱があった。
クミマの持っていた鍵では開かなかった。
「いつまでも書斎にこもっててもいつかはクミマに見つかるよね……。そしたら逃げるとこないしやばいかも…」
梨愛の言うことは至極真っ当である。
書斎はそこまで広い訳では無い。
ここでクミマに見つかれば死ぬかもしれない。
俺たちが不安を感じて黙っていると、カチッと音がして、なにかが落ちてきた。
木箱だった。
「なにこれ?」
梨愛の疑問に応答するように木箱が開いた。
中には古そうな紙が入っていた。
「と、とりあえず見るか…?」
「そうだね…」
てことで見よう。
のれ。いの。れ。いれ。い。いの。の。
りれび。のんぐた。れんいの。すさん。いだのん。めのかれいび。んよいこ。
「なによこれ?謎解きでもするの?」
「暗号ってこと?」
「のれ。いの。れ。いれ。い。いの。の。りれび。のんぐた。れんいの。すさん。いだのん。めのかれいび。んよいこ。……ほんとに訳が分からないわ。」
梨愛と俺で食い入るように見つめていると、木箱からがこっ!!と音がした。
見ると、底の部分が開いて、新たなメモがあったのだ。
やぁやぁ。謎解きは難しいかい?
難しいから木箱の底が開いたんだけどね。
ヒントをあげるよ。
ここまでたどり着いたからね。
なにかを抜くんだ。
改行に注意してね。
「これがヒントか?」
「も、もう一回見てみましょ…?」
そして俺たちはまた紙を見つめた。
のれ。いの。れ。いれ。い。いの。の。
りれび。のんぐた。れんいの。すさん。いだのん。めのかれいび。んよいこ。
「一行目は2文字以下文字の羅列で…二、三行目は三文字以上の文字の羅列…。一行目と二、三行目の間には改行がある…?」
「分かったわ!!!」
梨愛は高らかにそう言うと、机からメモとペンを取り出して、俺にも見えるように書き出した。
のれ。いの。れ。いれ。い。いの。の。
一行目の文字を消すと、
りびんぐたんすさんだんめかびんよこ
リビングタンス三段目花瓶横になる。
「リビングタンス三段目花瓶横…!!」
そして、謎は解けたのであった、めでたしめでたし。
じゃねぇけど。
「さーてとどうしような」
リビングへ行くにはこの安地である書斎から出ないといけない。
「クミマにどれほどの知能があるのかも分からないからね。」
出るにしてもクミマは巡回しており、今日は一層警戒しているかもしれない。
「ねぇ、廉くん、お願いがあるんだけど。」
_________
『きみいのあとがき』
お久しぶりです。
更新が遅くなってしまい申し訳ありません。
しかも字数少ないです、すみません。
ですが後悔してても仕方ない、本編のあとがきへ入ります。
今回は梨愛の父親の書斎を荒らしました。
梨愛の父親は何を考えているんでしょうね。
厨二病っぽい匂いがぷんぷんしますが!!!
次回更新は7月下旬となります、お楽しみに!!
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