第2話

「やっと__。」

人影がなにか喋る。

「やっと廉くん見つけた___!!!」

「え」

なんと、俺だった。



「だ、誰だよ!」

俺は言い返す。

「そんなことどうでもいいわ!…それより、声が大きい。『あいつ』がくるわ。着いてきて。」

とりあえず俺は着いていくことにした。『あいつ』に狙われるのはごめんだからな。

「ここ。」

カーペットの下に、ダクトの入口。

「はやくして。」

そこに潜り込む。

するとそいつも潜り込んできた。

器用にカーペットを誤魔化し、入口を閉めて入ってくる。

そいつもギリギリ入れたようだが、狭そうだ。

俺達二人は息を潜める。

ガチャ。

クマが入ってきた。

[きゃへへぇ?]

クマは困惑したような声をだした。


だって、ここで声がしたはずなのだ。

なぜ、いない?

[キャキャキャ]

隣の部屋をくまなく見る。

いない。

いない。

なぜだろうか。

他の部屋を見て回る。

いない。

意味がわからない。

一階か?

ハヤクミツケタイナ……


「行ったみたい。」

そいつはそう言った。

「で、お前は誰なんだよ。」

俺はそう問うた。

「わからない?梨愛だよ。」

「梨愛?祈か?」

「そうだよ。」

「なんで入れ替わってるんだ!?」

「落ち着いて。理由は分からない。ただ、今はこの家から出ることが先決だね。」

「祈が入ってきたところから出れないのか?」

「残念ながら、ね。身体の大きさが変わってるのに気が付かなくてついうっかり崩落しちゃったんだよ。」

梨愛によると、家の周りには何重にもレンガの壁で囲われていて、入ることはおろか、出ることも難しいとか。

出る時は何重にもなっている鉄の扉を一つ一つ開けないといけないが、梨愛は顔認証ではいれるらしい。

が!だがな?

そのシステムは21時にロックされ、使えなくなるらしい。

まぁ、今は俺の体だから壁に空いていた小さな穴から頑張って来たらしい。崩れたが。

「そ、そうなのか…。」

非常に残念だ…。

「掘り起こせたりは…?」

「さっき試したけど、大きいし重いから今の廉くんの身体でもだめだったよ。」

「じゃあ無理だ!」

俺の身体で無理なら梨愛の身体では不可能だ。

それほど梨愛はひ弱なのだから。



「どうしたら出れるんだ?」

「……。クマ、だよ。」

は?意味がわからない。

「どういうことだ?」

「よく見たら?ここからなら安全に見れるよ。」

「……。」

丁度クマがここを通ろうとしている。

それをダクトから見下ろす俺。

クマはやっぱり血まみれだ。手には鉈を持っていて、身長は170cmほど。

ツキノワグマだろうか?腹の辺りに三日月のような模様が。

模様、が。

その模様に重なるように、カギらしき物が。

「なんのカギだ?あれは。」

声を潜めながら梨愛へ質問する。

「あれがないとここからは出れないとだけ言っておくね。」

「なんだよその抽象的な答え方は…。」



「どこか、窓からとかは出れないのか?」

「無理だね。大体柵がついてる。壁も穴から入ったけど崩れちゃったから…。」

梨愛は残念そうにそう言った。

「…なぁ。」

「どうしたの?」

「なんでここに来てくれたんだ?」

俺は一番聞きたかったことを聞いた。

梨愛はすこし悩むそぶりを見せて、こう言った。

「身体。私の身体。あなたが死んだら、どうなるか分からないから。」

「どうなるか分からない?」

「入れ替わったまま、戻れないかもしれないし、結局もとに戻って、私だけ死ぬとか、そうゆうのはごめんだから…。」

これが本心のようだ。

確かに、俺が死んだらどうなるか分からない。

二人共死ぬかもしれないし、どちらかが生き残るかもしれない。

もしかしたら、俺も死ぬのかもしれない。

「あのクマは、なんなんだ。」

「…。」

「なにか、知ってるなら…」

「知らないよ。なにも。」

梨愛はきっぱりそう言った。

「ただ、あいつは突然現れて、私の命を狙ってるだけ。」

「…。」

意味がわからない。

あのクマがいたのなら、学校に来れないはずだ。

だって、命を狙ってきてるんだから。

「聞きたいことはそれだけ?」

「おう。」

「自分がそんな喋り方をしてるなんてびっくりだよ。」

「それは俺も同感だ。」



_________

新コーナー『きみいのあとがき』


こんにちは。干天1445です!

『ほあまいちよんよんごー』と読みます。

こんなふうにあとがき書いたりするの初めてなので何書いていいかわかりませんね!!


まず、『君に祈りは届かない。』略して『きみいの』を読んでいただきありがとうございます。✨

一話目ではどこがホラーミステリー入れ替わり小説だボケ!!!みたいになるかもしれませんが、二話目で梨愛ちゃんが出てきてくれたのでちゃんと入れ替わり小説になったと思います。


こんなふうに執筆するのは初めてなので無理やり感とかがあるかもしれません。

温かい目で見てくれると嬉しいです。


さて、次回の予告に入りたいと思います。

クマさんに狙われているのに学校にはこれちゃう梨愛ちゃん。謎が多いですねー。

次回は梨愛ちゃんハウスから脱出する手がかりみたいなものがあるかもしれません。


更新は4/27(土曜日)

また次回で会いましょう!!

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