大仏

第1話

奈良の大仏と鎌倉の大仏

鎌倉の大仏〈以下K〉「奈良の大仏さん、お誕生日おめでとうございます」

奈良の大仏〈以下N〉「お誕生日？」

K：「奈良の大仏の日でしょ？」

Ｎ：「そうじゃった。でも、当時からいるのは台座だけだからな」

Ｋ：「そうなんですか？」

Ｎ：「当時の事を知りたければ、台座に訊いてくだされ」

Ｋ：「しかし、便利な世の中になりましたな」

Ｎ：「ですな。こうしてリモートでお話しできるなんて」

Ｋ：「そちらは、観光客はどうですか？」

Ｎ：「まあ、戻ってきてる。そちらは？」

Ｋ：「まずまずです。そちらは鹿も大変ですな」

Ｎ：「ここまでは来ないから、鹿にはあったことがないのじゃよ」

Ｋ：「しかし、そちらは大切にされていますな」

Ｎ：「大切？」

Ｋ：「家付ではないですか？こちらは、雨の日も風の日も、外ですよ」

Ｎ：「そうなんですか？大変ですね」

Ｋ：「奈良のは、軟弱なんですよ」

Ｎ：「軟弱？」

Ｋ：「一度、雨風にさらされてみてください」

Ｎ：「でも、わしは太陽の顔は拝んだことがないです」

高岡の大仏〈以下Ｔ〉：「まあまあ、喧嘩なさらずに」

Ｋ・Ｎ：「これはこれは、ようこそ。地震は大丈夫でしたか？」

Ｔ：「まあ、なんとか」

Ｎ：「おたくも、有名になりましたな」

Ｔ：「まんが道のおかげです」

Ｋ：「かなり前になりますね」

Ｔ：「わしらにとっては、昨日の事のようです」

Ｎ：「違いないですね・・・」

てな、会話なんてしているはずもないか・・・