「鉤括弧の記号は庵点〽が変化したもの――という説」

 鉤括弧かぎかっこ庵点いおりてん〽が変化したものである――という説がある。


 庵点というのは「いおりてん」または「いおり」で変換される記号だ。

 ここから歌が始まるよ、という意味の記号だ。


 環境依存の記号らしいから表示されないこともあるかもしれない。


 〽記号がないために♪記号を代用するようになり、今や小説の中に出てきた歌詞は♪をつけることが多い。


 庵点と♪マーク

https://kakuyomu.jp/users/hakusuya/news/16818093075592984414


 この庵点が鉤括弧のルーツだという。誰が言いだしたか不明だがWikipediaにもそのような記載がある。


 確かに〽と縦書きの「は似ているとも言える。


 しかしそれだけではちょっと苦しい。

 実はもっとそれらしい理由がある。


 なんと初期の鉤括弧には終わり鉤括弧(括弧閉じ)がなかった!


「え? それ本当?

「本当だよ

「信じられない……


といった具合だ。


 またまた証拠画像を載せよう。

 二葉亭四迷「浮雲」の明治20年頃に出版された「新編 浮雲」というのが画像として国会図書館に残っており、それをネットで閲覧できるのだ。

 その画像を引用しよう。

https://kakuyomu.jp/users/hakusuya/news/16818093075593706461


 見事に括弧閉じがない。

 文の途中なら括弧閉じがある。括弧閉じという記号がなかったわけではないようだ。


 はじめ鉤括弧しかなかったら庵点に似ていると言えないこともない。


 〽 ここから歌が始まるよ、という記号

「  ここからセリフが始まるよ、という記号


 使い方は似ているね。









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