「ここでまたまた脱線。『浮雲』の成長? を見てみよう」
二葉亭四迷『浮雲』において「括弧閉じ」がなかった件について補足説明する。
実はそれは第一編と第三編で大きく異なる。
終盤に向かうにつれ「括弧閉じ」が出現したりいろいろ変化していくのだ。それを成長と言ってよいのかわからない。出版社が勝手にルールを決めてそのようにアジャストしていったのかもしれない。
第一編の初めの方の『浮雲』を見てみよう。
https://kakuyomu.jp/users/hakusuya/news/16818093075641085869
文末に句点がない。見事に。
読点はかろうじてあるが、ゴミみたいについているだけだ。
三点リーダー……………………これに至ってはいくつ点がふられているかわかりやしない。数えられるだろうか? 3の倍数になっているのかな?
そして「括弧閉じ」はない。
しかしそれが話が進むにつれ、文体も変わっていくし、表記の仕方も変わっていく。
第三編の『浮雲』を見てみよう。
https://kakuyomu.jp/users/hakusuya/news/16818093075641204415
文末に句点が登場している!
読点は相変わらずだ(笑)
三点リーダーが二文字分(点が6個)になっている。
「括弧閉じ」が登場しているではないか! それも句点付き!
書いているうちに変わっていくところが見られるなんて、やはり国会図書館のデジタルコレクションは良い!
追記
以前、書籍化された『浮雲』は現代用に「括弧閉じ」をつけていると書いたと思うが、本屋で立ち読みして驚くべきことがわかった。
確かに新潮文庫版は「括弧閉じ」をつけていた。
しかし、岩波文庫版は「括弧閉じ」がないままにしている。かなり現物に忠実に再現している! (もちろんかな遣いなどは現代だが)
ただ………………「三点リーダー」は二文字分点6個に修正されていた。
岩波よ、お前もか!?
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