小説における「かぎかっこ」の役割
小説の中に出てくる「鉤括弧」には二通りの使い方がある。
1.会話文
2.単語の強調
1.会話文
当たり前のように会話文を示すために「鉤括弧」は使われる。
もともと日本の物語には「鉤括弧」という記号はなかった。それどころか句読点もない。濁点もなかったとも言われる。
おそらく欧米の書物が入ってきて導入されたのだと思われる。ひとことで言うと欧米の「真似」――――と書いたら叱られるな。
このあたりのことを書くと一言では済まなくなる。日本語と他の言語との根本的な違いに触れざるを得ないからである。それはまたの機会にしよう――偉そうに(笑)
とにかく、語りの部分(地の文といわれるもの)と区別するために台詞を「鉤括弧」で括ったと考えよう。
2.単語の強調
単語を強調するときに「鉤括弧」で括るというものだ。何か専門用語など特殊な用語、外来語、あるいは作品タイトルに使う。
本来の言葉の使い方と違う時にわざわざつけることもあるだろう。
余談だが、強調するには何も「鉤括弧」で括らなくても良い。傍点をふるのも一つの方法だ。単語ではなく文章・文節なら「鉤括弧」よりも傍点の方が使い勝手は良い。
しかし、カクヨムの傍点は意外に地味で目立たない。
だから私は黒丸●を
単語の強調なら「鉤括弧」ではなく他の【括弧】を用いるのも良い。
【推しの子】
といった具合に。
ひとつの言葉にいくつもの意味が含まれているとほのめかすのにはちょうど良いだろう。
参考までに「新編浮雲 第一編」で「鉤括弧」が強調で用いられた例を挙げてみよう。そこでは外来語を「 」で括っていた。
https://kakuyomu.jp/users/hakusuya/news/16818093075706554683
ずばり「アイドル」
明治20年代に「アイドル」という言葉が今とほぼ同じ意味で使われていたのも興味深い。
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