お姉ちゃん/わたしたちって、滅びるの?
―
その日の午後……場所は
あたり一面に広がる草を蹴りながら。
彼女たちは、その地の唯一の建物である、
太陽は西に移り始めているが。
まだ空に、赤色は混じっていない。
草を蹴るたび虫たちが、逃げるように。
はねる。
疲れているのか、ずっと下を向いて進んでいる
そのそばに
一方、
小さな人影を背負っている。
その人影はまぶたを下ろし、わずかな息を漏らしながら眠っていた。
あどけない寝顔を見せる彼女……
自分の体に手持ちの画板をくくりつけ。
つまり。
いま
自分の家へと帰っている。
その
ところで、なぜ。
彼女たちのなかで、とくに
確かに
だが、その区別はここにおいて関係ない。
そもそも彼女たちは
仲間意識を十二分に共有していた。
だから理由はもっと単純なこと。
人並み以下の体力しかない
また、
彼女の背はとても高く。
小さな体格の
それだけの話なのだ。
だから。
この場では、
なお「だっこ」は
両手で
垂れた腕がわずかに振られ、その頭部が軽く前後し。
まるで心地よく舟を漕ぐように。
速すぎないよう、遅すぎないよう、酔わせないよう。
進んでいた。
そのとき、
寝言のような音が混じった。
「お姉ちゃん……」
―
自分と同じ
名前の下に「お姉ちゃん」を付けて呼ぶ。
たとえば「
しかし。
すなわち「お姉ちゃん」の上に、なんの名前も添えなかった場合。
それは
よって
おそらく
ところで
だが少なくとも。
これ以上なく好いていた。
彼女は手持ちの画板の上に紙を載せ、絵をかくのが好きだが。
その趣味のような行動は、ふたりの姉を意識してのものでもあった。
現在、彼女の寝息を右の耳元で聞いている
とはいえ。
(わたしには、姉というものがよく分からない)
長女の
だが
姉という感じがしない。
妹としか、思われないのだ。
そもそも
これは
生まれ方に起因する話である。
(改めて、わたしはなぜ生まれたのかと思われるな)
しかし
草から飛び出す虫たちが相変わらず人にみえて、こちらの心を乱してくる……。
という理由もあったが。
深刻になれば、それに気をとられるあまり。
背中の
……なんにせよ。
草が生えているだけの平坦な地、
空に赤が溶ける前に。
―
ゆっくりと振り返り、
「
ここまで、おつかれ」
声は控えめだった。
それに対して
「ああ、ここまで……ありがと。
おまえ本当は……
それなのにわざわざ付き合ってくれて……どうも」
この
「え、そうだったんですか。
わたしも
「いや……
そして
いよいよ。
それは取り立てて描写する必要もない、ただの。
木造のあばら屋。
そんな
ひとりは、
そしてもうひとりは、
いまはちょうど、
ところで。
そして
名は、
だが
彼女はある思いから、
―
ともあれ。
その入り口の戸をあけた彼女は。
ただいまと言って。
家に入る。
すると、そのなかにあったふたつの人影が。
おかえりと返した。
ちなみに
玄関をとおれば、そのなかでもっとも広い部屋に出る間取りである。
そして
自分の背中から、その部屋のゆかに。
そっと下ろした。
その際。
眠りながらもそれをしっかりつかもうとする
画板をくくりつけるのに使用されている、ひもを緩めるにとどめた。
その後、家のなかにあった人影の片方……
布団を出して、
あけたままにしておいた入り口の戸のほうを振り返る。
「
だが家に入ろうとした
「わたしたちって、滅びるの?」
対して
「うん滅びるよ」
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