暗闇の姉妹
―
さて。
彼女たちが終わり始めて、約二日経過したということで。
いったん、これまでの経緯を整理しよう。
ざっと述べると。
巨大な存在の
情報の共有を図るべく、
まず
……という流れになる。
だが。
彼女たちには、分からない部分も多い。
よって、その基本的な情報も確認しておきたいと思う。
ただし俗説による考察も含むので、全てを鵜呑みにすることはない。
そもそも彼女たちとは。
ここで言う
たとえば
たとえば
とはいえ。
そんな彼女たちも無数にいるのではない。
同じく、
すなわち
二十四人となる。
その地域は、八つ。
各地それぞれに、地名を名字にとる三姉妹が属する。
一方、
……いままで出て来た名前もあれば、これから出て来る名前もある。
遅かれ早かれ彼女たちは全員、終焉に巻き込まれることになるが。
それは、いずれ。
ともかく現在のところ話の中心にいるのは誰か。
場所は
時間は、深夜。
いま屋敷には、六人の
借りている部屋で
道場にいる
これで
あとのふたりは。
昨晩、
その正体である
―
小さな影、
昼間のあいだ彼女は
目をこすり、画板をかかえる。
その画板は絵をかく際に紙を載せるためのもの。
屋根裏から抜け出し。
寝ている
それぞれの寝顔を見ながら、絵をかく。
似顔絵のつもりかもしれないが、画風は奇妙と言わざるを得ない。
……これまでの文章に添えてきた絵。
それらは全て
改めて確認すれば、その作風が奇異であることを了解できるだろう。
(※どうやら、この記録の本文にはその
ともかく。
いま彼女は、道場で眠っていた
それから
そのとき。
ひとつの声が、暗闇に落ちた。
「むろつみ?
姉さん心配してたよ」
後ろから人影が
しかし
慌てるそぶりを見せない。
それもそのはず。
声は
「その声、お姉ちゃんだね」
そう。
暗闇に落ちたその声を発したのは、
―
つまり状況を描写すれば。
さらに
確かに現在は深夜。
加えて、あかりも消されていた。
だが
画板に載せた紙……そこにかかれた絵を覗き込みつつ、妹にもたれかかる
果ては……。
「お姉ちゃん重い」
……と妹に言われてしまうまで。
「そうだよ姉は重いのさ。
だから軽く、かいてくれ」
対して、
むしろ嬉しそうな表情を作った。
暗闇のなかでも、
また
姉の軽い笑いのなかに、さびしさが隠れていることを。
―
なお、これまでかいていたぶんもそうだったが。
紙の色は、黒いようだ。
その黒地の上に、灰色を置いていく。
ふたりにしか聞こえない程度の声量で、言葉を押し出す。
もちろん、それで
その筆はとまらなかった。
かたや
「ぜーちゃん、きょう道場休みにしたでしょ」
なぜ彼女がそれを知っているのか。
彼女はきのうまで道場にも
間接的に誰かからその情報を伝えられたのでもない。
だが彼女がそれを知ることができたのは。
彼女自身が「それができると思われる」
遠くからでも、
「今朝なにかが、ぽろっと落ちるように思われたんだ。
それでここに来た。
姉さんには、なにも言ってない」
この「姉さん」とは。
すなわち
「でも、むろつみも
てっきり
……話しているあいだ、
姉のその様子も確認しながら、灰色を紙に広げていく
―
「あ、ごはん、ふたりぶん用意されてる」
姉の
その部屋に。
食事が置かれていた。
しかもその食事は、まだ温かかった。
おそらく
「きのうは、ひとりぶんだったんだよ」
それを聞いた
その耳元に近寄り。
起きない程度にささやく
「りゅーちゃん、ありがとね」
……しかし。
再び朝が来たとき。
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