第17話 エピローグ


 さて、このお話は怪異かいいという特別なものでしょうか?


 そんな事はないですよ。だって山なんて日本中、いや世界中どこにでもありますからね。


 山があれば、断崖だっていくらでもありますよね。普通の事なんですよ。

 

 


 ただ、そこに不自然な〝物〟が、あったらどうでしょうか? 例えばお話に出て来た、あの『ロープ』とか……


 なぜそこにあるのか

 誰が持ってきたのか

 なんの目的で

 いつからあるのか

 どのように使用したのか……



 もしあなたが、どこかでロープに遭遇したらどうでしょうか?


 違和感を覚えますか

 手に取ってみますか

 それをどう使いますか……



 まあ…… どう使おうとあなたの自由ですけど、覚悟はしておいた方がいいですよ。


 不可解な現象に巻き込まれても、責任は負えませんから。覚悟がないなら、関わらないことをお勧めします。

 

 


 ところであのロープは、呪われたロープでしょうか? 所謂いわゆる呪物じゅぶつといわれる物。


 うーん…… それはどうでしょうか。あの断崖の裂け目で、ロープに関わった人達を思い出してみて下さい。


 勝手に考えて、勝手に思い込んで、勝手に使っただけですからね。


 

 彼らが見た、この世の者とは思えない何かが、〝死〟を匂わせる人々に付け込み、ロープを使って闇に引きずり込んだのでしょうか? 


 それぞれがどう感じ、どう思ったかは彼ら本人次第でしたからね。



 でも改めて考えてみると、このお話は呪いとか、怪異かいいたぐいになるんですかね?



 どうとるか。その辺も、あなた達の自由ですよ。




──………………






 

 ところで、さっきから気になってたんですけどね……


 あなたの後ろに並んでいる方々かたがたは、お知り合いですか?


 

 黄色地に水玉のワンピースの女性、シャツの袖とズボンの裾をまくり上げた裸足の男性、カバンを大事そうに抱えた男性がいますね…… 他にもたくさんの……


 


 そして皆さん、嬉しそうに満面の笑みを浮かべていますよ。






 さあ…… では今あなたの側にあるそのロープ、どう使いますか…………






       『ロープ』終

 




 



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ロープ 原口 モ @mo-haraguchi

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