Zクラスの三人組~天才魔女っ子、最強獣人、偉才エルフは退学寸前の状況なのですがここから巻き返しって可能ですか?~

@matcha874

第1話 振り分けられたクラスと明日からの決意

「君のクラスは明日からZクラスだ。」

放課後、校長室に呼び出され、突如告げられたその事実。

「え?」

私の口からは意図せず呆けた返事が漏れた。

「どうして...ですか?」

思わず理由を聞くと校長先生は目元を手で押さえて深くため息を吐いた。美しい銀色の髪が揺れる。

「バーベナ・レイア。君は今までどれだけ皆に迷惑をかけたか理解しているのか?」

そう問いかけられ反射的に校長先生の横に立っていた担任のバルバス(バルバトス・シーサ)先生の顔を見た。しかし、バルバス先生は目も合わせてくれない。美しいエメラルドのような瞳には僅かな落胆の色が見える。校長先生は続けて口を開いた。

「ここ最近の授業では、魔法史の授業中、ノートに書いた落書きの魔法陣で小さな悪魔を召喚したり、はたまた魔法薬学の授業中、課題とされた薬を作らずに、禁術といわれる不老不死の薬を生成する始末...。しかも独学で...。極めつけは占いの授業中、一週間後の天気を占えば良いだけなのに、あろうことか魔族滅亡を予言して学校の備品である一点物の水晶を割るなんて...。」

校長先生が今までやった私の失敗を挙げていくたびに自分の中に恥ずかしさや申し訳ないという気持ちが膨らんでいく。

「そして。」

一通り話し終えたのか、はっきりとした校長先生の声が響いた。おそるおそる顔を上げる。

「君の担任とも話し合った結果、君は優秀なAクラスには相応しくない、という結果になった。明日からはZクラスで授業を受けるように。」

有無を言わせぬその口調に私は泣き出しそうになるのを堪えて「はい。」と返事をするしかなかった。私が校長室を出る前に美しい緑色の瞳が此方を見ていた気がする。

~バーベナ・レイア side1 終了~


教室に荷物を取りに戻り、1人とぼとぼと帰り道を歩く彼女。彼女の名前はバーベナ・レイア。特徴的なのはやはり彼女の髪色だろうか。とても長い彼女の髪は満開に咲き誇るダリアを彷彿とさせるような真紅の髪色。軽くウェーブが掛かった髪は絹糸のように艶やかだ。垂れ目がちな目の形にビターチョコのようなこげ茶の瞳。

容姿に特に目立った特徴はない。普通の女の子に見える。しかし、ここは魔族が集う魔界。彼女もれっきとした魔族。彼女は魔女だった。彼女が通っているのは点数式の魔族学校である「アストリッド・ユニバーシティ」。クラスはAからZまであり、Aに近づけば近づくほど自分の持ち点は高くなる。が下に行けば下に行くほど点数は0に近くなり0点になればこの学校から退学になってしまうのだ。そして、その中でもZクラスは最低ライン。持ち点は彼女を含め、一桁を切っている生徒しかいないのだ。ふと彼女は両手で頬を軽く叩き、夕闇に溶けるように走り去っていった。

~(???)side1 終了~


時は少し遡る。

(やっぱり1人で帰るのは寂しいよね...。)

私はそんなことを考えながら1人家までの道を歩いていた。

元より友達を作るのはあんまり得意ではなかったがAクラスに入ってからは今までの失敗が積み重なり友達と呼べる子はほとんどいなかった。

(でも...今はそんなことよりも...)

考えないといけないことが多すぎて眩暈がする。

「はぁ...」と深くため息をこぼす。

「お父さんとお母さんになんて言おう...」

お父さんもお母さんもごく一般的な普通の魔族だ。私の魔力が普通よりもかなり強いことは分かっていたようだった。でもまさか学校に入ってすぐに持ち前の魔力で実技試験を難なくクリアし筆記試験のほうも勉強が嫌いじゃない性格も相まって満点を叩き出しAクラスに入れた時は2人とも凄く驚く反面とても褒めてくれた。

両親は普通なのに何故私だけがこんな凄い魔力を持って生まれてきたかは2人にも分からないようだったけど。

(この魔力を私がもっと上手く扱えたら...なんてそんなの夢物語だよね)

実際、上手く扱えずに失敗を連発したから校長先生にAクラスに相応しくないと言われてしまったわけなのだから。

学校で何度失敗しても2人は話を聞いて慰めてくれたことを思い出す。

(言えない。絶対言えない。)

自身に気合いを入れるために両手で頬を軽く叩く。

(こうなってしまったものはしょうがないし...。何としてでも明日からの授業で点数を稼がないと。)

明日からの決意と今日起こってしまったことを割り切るかのように私は足早に家路を急いだ。

~バーベナ・レイア side2 終了~

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