「テリファー 終わらない惨劇」(2022)
「全米が吐いた」のキャッチコピーに恥じない強烈なグロテスクシーン満載! 不死身の殺人鬼アート・ザ・クラウンがハロウィーンでにぎわうアメリカの町で再び快楽殺人を繰り返す。あまりに問題作なので見る際には注意が必要である。
オープニングシーンはいきなり残虐シーンから始まる。薄汚いバックストリートを歩いてくるアート・ザ・クラウン。彼は不気味な黒いゴミ袋を背負って、街のあちこちに出没する。
前作と同じように、アート・ザ・クラウンはあちこちで快楽殺人を繰り返す。今回は彼はひとりではない。幼女クラウンがその悪行に仲間入りを果たすのである。
一方、本作のもう一人の主人公である女子高生のシエナ。自宅で主婦兼オペレーター業をしている母、弟のジェイソンと慎ましやかに暮らしている。
ハロウィンの季節がせまって、シエナは衣装の用意をしている。製作しているのは亡くなった父親がデザインしたキャラクターのビキニアーマーだ。
芸術的な才能を見せる一方、とても不安定な人格で向精神薬に頼っていることが描かれる。その問題はどうやら父の死と関係がありそうだ。
アート・ザ・クラウンがにわかに話題になるなか、シエナの弟ジェイソンは学校でクラウンとその相棒とばったり会ってしまう。とうとうヤツが街に現れた。ジェイソンは皆に伝えるが誰からも信じてもらえない。シエナもコスプレショップで出くわすのだが本物とは気づかない。
そうこうしているうちにハロウィンがやってくる。製作したビキニアーマーで身を飾ったシエナは、意気揚々と街に出かける。お酒はダメよという母親の言葉を聞き流しながら。
こうしている間に、アート・ザ・クラウンはさらに犯行を重ねる。彼が次に狙いをつけるのは、ハロウィンの夜に会う約束をしていたシエナの友人アリーである。はたしてアリーはどうなってしまうのか? シエナは? そしてジェイソンは? 惨劇の夜がはじまった。
本作を特徴づけているのは、何と言ってもその容赦ない人体破壊描写である。アート・ザ・クラウンの手指は魔法のごとき強靭さを持っており、人間の頭蓋骨や腕を容易に破壊する。その気持ち悪さは、垣間見えるチープさを帳消しにするほど(むしろチープさは救いでもある。真に迫る気持ち悪さなら、それこそ私は気絶していただろう)。
私が最も恐ろしかったのは、ある民家でのシーン。いっそ殺してやるのが慈悲に思われるほど、執拗に、丹念に、ことが行われる。何の罪もない人に、何もそこまでやらんでも……。ここは血の油にべっとり塗れたビジュアルと相まって吐きそうになった。統計でも取れば、吐く人が最も多いのはこのシーンなのではないだろうか?。
前回はアート・ザ・クラウンにやられっぱなしだった人類サイドではあるが、今回は立ち向かう意志の強さを見せる。立ち向かうのはもちろん、ビキニアーマーに身を包んだ主人公のシエナである。その絶対悪に立ち向かう姿は神々しさすら感じさせ、見る人にひときわ強い印象を残すことだろう。
なお、アート・ザ・クラウンの妙にかわいらしい姿は今回も健在である。アート・ザ・クラウンのファンの方は是非とも安心して欲しい。
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