毒吐き妹とツッコミの姉のゆるい百合

こーろぎガラガラ

第1話 幸せのお裾分け

妹「ねぇねぇ、お姉ちゃん。」


姉「ん?どした?妹ちゃん」


妹「幸せのお裾分けって、意味わかんないよね?」


姉「???」


妹「だってさ、幸せってこっちが勝手に感じるものであって、人からはいどーぞって渡されるようなものじゃなくない?」


姉「…それはまあ、せやけど。急にどしたん?」


妹「この前同級生と呑み会に行った時にさ、付き合ってる人の話題になったの。」


姉「まあ、あるあるやな。」


妹「それでね、○○ちゃんって子が『私最近新しい彼氏ができちゃって〜、今めっちゃ幸せなんだよね〜。旅行とかも行きまくっててさ〜、一緒にいてめちゃくちゃ楽しいの!あ、良かったら写真見る?幸せのお裾分けしてあげる!!』って言ってきて、その子と彼氏さんのいろんな写真を見せられたの。」


姉「…あー、妹ちゃんはそういうの苦手そうやもんな。」


妹「だって意味わかんないよね?その子と彼氏さんが幸せそうにしてるからってなんで見てるこっちまで幸せになるの?そりゃ可愛い動物とかが幸せそうに眠ってたりしたら眺めてて幸せな気持ちになるかもしれないけど、たいして可愛くもない人間の幸せそうな写真見てもなんとも思わないよ?何がしたいの?馬鹿なの?」


姉「ちょ!ちょ!ストップ!!ストップ!!

いくらなんでも友達のこと可愛くないなんて言ったらアカンで!!そう言う悪口はお姉ちゃん見過ごせへんよ!!」


妹「?…あ、違うよ?別にその子が可愛くないって話をしてる訳じゃなくて、人間ってそもそも別に他の動物とかと比べて可愛くないよね?って話だよ。」


姉「そ…そうなん?それならまぁ、良い…のかな?」


妹「この世で人間で可愛いって言ったら、お姉ちゃんくらいしかいないよ。」


姉(妹の愛が重い…。)


姉「じょ、冗談でもそう言われるとウレシイナー。」


妹「冗談じゃないのに…(小声)まあいいや、それでね、私の周りの子達は『え〜!!!めっちゃ羨ましい〜!!』とか『私も彼氏欲しくなってきちゃった〜!』とか『キャー!良い笑顔過ぎて見てるこっちまで笑っちゃう〜』とか言ってたんだけど、これ全部ウソだよね?絶対そんなこと思ってないし、なんなら心の中で中指立ててるよね?」


姉「いや、そんなことはないで???まあ、多少オーバーなリアクションはしてるかもしれへんけど、皆素直にそう思ってるんとちゃう?てか、皆んな心の中で中指立ててたら怖いよ…。めっちゃ嫌われてるやんその子…。なんか嫌な感じの子なん?」


妹「いや別に?そんなことはないと思うけど。

まあいきなり『幸せのお裾分け』とか言い出しちゃう残念な子ではあるけど、嫌われてはないんじゃないかな?友達も多いみたいだし。」


姉(どっちかと言うと、妹ちゃんの方がヤバそうやなぁ…。)


妹「とりあえずさ、私の結論としては『幸せのお裾分け』ってすごい傲慢だと思うんだよね。だって、幸せってそもそもお裾分けできるようなものじゃないし、なんならそれをすることによってその子の幸せが増長してるよね?周りのみんなに『こんな幸せな私を見て〜』ってマウント取ってさ、厚かまし過ぎてビックリしちゃうよ。」


姉「ウチは、妹ちゃんの口の悪さにビックリしてるよ…。」


妹「…だからね。正直私、ちょっとだけあの子に嫉妬しちゃったんだ。でも、そんな自分を認めたくなくて、こんなこと考えちゃったりして…。だから…その…。」


姉「…ええで。おいでマイちゃん。」


妹「…。」


 私が自分の胸をポンポンと叩いて、軽く腕を広げると、妹が倒れ込むようにして私の胸に飛び込んできました。ちょっとだけ口が悪くて、ちょっとだけ性格が捻くれてて、なかなか素直になれない妹だけど、私にとっては大事な大事な家族で、とても愛しい人です。私は、これから先もこの子を一生かけて守っていこう。そう強く心に誓ったのでした…。


fin...









妹「っていう話を考えたんだけど今度のコ○ケで出す同人誌に、どうかな?」


姉「…まあ、いろいろ言いたいことはあるけど、ひとつだけ言わして?」


妹「?」


姉「…なんで姉妹ものなん?」


妹「???」


姉「あとなんでこの中の姉は関西弁なん??」


妹「?????」


姉「…いや、やっぱええわ。なんか聞くの怖なってきたし…。とりあえずシナリオ考えてくれてありがと。ご苦労さん。」


妹「お姉ちゃんのためだったら、このくらいなんてことないよ!!困ったことがあったら、またなんでも頼ってね!!!」


姉「まさか妹がナマモノ作家だったとは…。こりゃたまげたなぁ…。」


お姉ちゃんの苦悩は続く…。


第一話 完

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