第22話 最強のおばあちゃん



「他に隠してることはありません。」


 母上達にしっかりと絞られた3人はうなだれるように答えた。


「しかし、ハンスも困ったものね。いくら弟達と話したい為とはいえ、こんな物を使ってしまうとは、こんなものがバレたら、どこも黙っていられないわよ。もしかしたら、母上にお願いする事になるかもしれないわね。」


「えっ?!師匠にですか?」


「そうね、ユキも知ってるとは思うけど、あの母上に逆らえるのはこの国にはいないでしょうからね。あまり頼るのも嫌だけど、こればっかりはねぇ。」


「まあ、そうですね。でも、連絡は取れるのでしょうか?」


「そうね、孫も見たいだろうしそろそろ帰ってくるだろうけど、できれば会わせたくはないわね」


「ねぇねぇ、なんのお話ししてるの?」


 3人は母上達の話を聞いて興味津々で尋ねた。


「そうねぇ、あなた達のお祖母様であり、私たちのお師匠様のお話しよ」


「えっ?!お祖母様?お師匠様?!」

「お祖母様に会える??」

「母上達のお師匠様ってことは強い?!」


 お祖母様とお師匠様と言う単語にすっかり興味津々の3人にアリアは話す事にした。


「そうねぇ、少し話してあげましょうかね、私の母上でありお師匠様はね、今の王様の姉に当たる人でね、一応は王族なんだけど、王族っぽくない人ねいい意味で。そして、基本的にどこにいるのかわからない人でね、でも、とても強いわ、強いからこそどこにでも行けるってこともあるのかな?そして、強くなる事と強いのと戦う事にしか興味がない人で自分勝手な人ね」


 母上はなにか、嫌そうに言っていたけど、少し寂しそうな表情だった。


「私から見たお師匠様は、とてもカッコよくて綺麗な人ね。自分勝手だけども弱いものいじめはしないし、何度も国を救っている英雄でもあるわ。そのせいか貴族派からは疎まれているのだけど、全て決闘で黙らせる姿に女性は憧れてきたのよ!」


 ユキお母様は憧れの人を話すような表情でそう言った。


「私も会いたい!」 

「お祖母様にはいつ会えるの?」

「私も会ってみたい」


「うーん。そうねぇ、確実に言えることは3人が強くなったら会えるかしら?」












「さて、シェリア!行ってくる!!」

「はい、私もエルヴィン様たちの準備が出来次第向かわせてもらいます!」

「わかった!頼むよ!」


 あの通話の後、すぐにお祖父様に伝えて、王宮に向かってもらった後、準備をして、弟妹達のところに向かう事にしたハンスは王都をでた後大きくなったウルの背中に乗り猛スピードで駆けていた。


(帝国か、一応罠を準備しといて良かったのかもな。それよりもまずは母上達と合流しないとね。母上達が一緒なら安全だとは思うけど。)




 そこから街道を少しそれたところを猛スピードで駆けながら、みんながいると思われる付近で探知をすると何やら怪しいものが引っかかった。


「うん?なんだこのバカ強い魔力は」

(こんな街道の近くにこんなのがいるのか? と言うか追いかけてきている?!っちっ!! このままじゃ、この化け物をみんなの所に連れてきてしまう!ここで足止めするしかないか!)


 そう思い、街道からさらにされた場所まで誘導し、止まる事にしたハンスは戦闘態勢に移った。


(まじか、ゴクウより強そうだぞ?!クッソ!!こんな所で躓いてる暇ないのに!)



「っっ!!あなたは誰ですか?」


「へぇ?あんた、アリアの息子か?」


(なぜ母上のことを知っている!?魔眼を持ってはいないはずだぞ?!)


「まぁまて、魔眼は使っていないよ、ただ似ていたからなぁ、カリーとアリアに、それで?息子なのか?」


「さぁな、カリーってやつもアリアってやつも知らないな、知り合いじゃなかったみたいなんで、進んでもいいか?」


「ふむ、そうか違ったか。だがこの先には行かせることはできないな。もし行きたいのなら私に勝ったからにするんだな」


(っちっ!!まさか、この先に母上達がいることを知っている?!仕方ないやるしかないか)


「わかった、俺もこの先にどうしても行かなければいかないからな!!!」


 ハンスは最初から本気で行く事にした。まずは闘気を纏い、雷魔法の付与魔法でスピードと麻痺の状態異常を作り出す魔法を付与した。

そして、まさに雷神のような踏み込みで相手に接近し、剣を振るった!だが。


「なっ!」


「ふむ、闘気に雷魔法まで操るか、いいぞ! だが、それじゃあ、ただ速いだけだな。もっとだもっとこい!」


(速いだけだと?!どうゆう事だ?っっ!くそ!考えても仕方ない。あれを使うか。)



「ほぅ。面白い!来い!喰い殺してくれるわ!!!」


「ちぃぃぃ!!」


 この時ハンスは、対リリス戦で勝つ為に用意していた技を使った。闘気と魔力を混ぜて纏う。そして、そこから、纏う魔力を雷属性に変質させた雷神を纏う事で通常の身体強化の何倍もの強化をした状態だった。しかし、強化されすぎた身体には負荷が重すぎて、全力で戦闘するならば1分が限界であった。


(よし、成功した、1分で決めるしかないが仕方ない!絶対決めてやる!!)


 そこからは、正に音が遅れてくるようなスピードでの撃ち合い。だが、相手の体に届く前に全て塞がれている。


(そういえば、なんだこの違和感は、この場所がこいつに味方しているような、まるで魔物のテリトリーに入ったような感覚は)


「ふむ、気づいたか、だが、対処する術を持っておらぬなら関係あるまい、それに、久しぶりに娘に会うのだから、もう終わらせるぞ!」


(うん?娘?誰のことだ?)


「おい、娘って誰のこと‥「いくぞ!業炎の炎に焼かれろ!炎龍の咆哮!」まずい!ウル逃げろ!」


「ふむ、あの状態だとやはり直撃は避けれるか」

「グルルゥウウ!!」

「安心せよ、死んではおらぬ、これで治すがいい、私が聖獣の主を殺すわけにはいかぬからな。」


 そう言って、ポーションを与えた女は立ち去ろうとした。。。




「ハンス!!」


 ハンスの魔力を感じ、心配になったアリアは迎えに来た。


「うぅ、母上?来たらダメです。にげてくださぃ。」

 

 ハンスはそう言うと母上の腕の中で眠ってしまった。



「母上?まさか、孫に気づかなかったわけじゃないですよね?」

「ふむ、やはり此奴がアリアの息子か?」

「えぇ、そうです、私とカリーの息子であり、貴方の孫です。いくら母上でも息子をやられて黙ってるわけにはいかないわね」


 そう言って、ハンスをウルに任せたアリアは、最大まで魔力と闘気を纏い戦闘態勢に入った。


「まあまてアリア、私は聞いたのだぞ?アリアとカリーの息子か?と」

「答えるわけがないでしょうが!あなたのこと知らないんだから!この子は頭がいいんです!むやみやたらに素性を明かすわけがないでしょう!」

「ふむ、そうゆうものなのか?だが、良かったぞ!まだ、この歳でこの強さならもっと強くなるかもしれん!」

「はぁ、もういいです、1発殴らせてもらいます!」

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異世界では(弟妹を)守りたい てる。 @yugaueatari

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