21世紀(1)フィリップ・コンタミーヌ『シャルル七世』概要

 20世紀は、シャルル七世の研究や評価について目新しい進展はなかった。

 現在は21世紀が始まってから四分の一ほど経過し、2022年にはシャルル七世即位600周年を迎えた。


 この間、2017年にフィリップ・コンタミーヌ著『シャルル七世:ある人生、ある指針(Charles VII. Une vie, une politique)』が刊行された。


 コンタミーヌは、ここ日本では2003年に『百年戦争』の概要を翻訳した著書が1冊刊行されたきりで、あまりなじみがないが、20世紀の著名な研究者レジーヌ・ペルヌーの後継者と見なされている。



▼20世紀:レジーヌ・ペルヌー「復権裁判の重要性とシャルル七世が果たした役割」

https://kakuyomu.jp/works/16818093075033117831/episodes/16818093076334689672



 残念ながら2022年1月26日に他界。

 くしくも、氏の遺作となった『シャルル七世』が即位600周年を迎える直前だった。


 同著は、シャルル七世の「画期的な伝記」として高く評価されている。

 最新の研究成果といって差し支えないだろう。


 さっそく紹介したいところだが、最新情報ゆえに、著作権・翻訳権などさまざまな権利関係に抵触しないためにはどこまでの翻訳・引用が許されるのか……。悩んだ末、今回はこれまでの「翻訳した引用文」の掲載をやめて、私個人の読書感想文というスタイルでやってみようと思う。


 本題の「感想文」を始める前に、どこかの出版社が日本語に翻訳してくれることを願って、同著の概要ともくじを紹介する。




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フィリップ・コンタミーヌ著

『シャルル七世:ある人生、ある指針(Charles VII. Une vie, une politique)』

2017年刊、全13章・570ページ。


第一章 王子の子供時代(1403〜1417年)

- フランス王国:危機と改革の希望

- パリ

- どのような形成?

- アンジューの道のり

- アジャンクールの戦い


第二章 反抗と廃嫡:内乱と外乱の王太子(1417〜1422年)

- 始まり

- 誘拐と虐殺

- 反逆の息子

- モントローの「協定と当日」:罪と過ち

- ヘンリー五世の賭け

- ラング・ドック地方への旅

- ブルターニュ公の幽閉

- デルフィニアンの議論

- トロワ条約:その目的は?

- 執拗な私生児の噂

- トロワ条約の余波

- ボージェの春:戦争の終焉

- 「シャルル王万歳」と「アンリ王万歳」


第三章 破棄された希望:ヨランド・ダラゴンとリッシュモン(1422〜1427年)

- アラン・シャルティエの四部作

- 財力

- 軍事的資源

- 戦利品

- 王国の外でフランス王として認められること

- 国王と摂政:シャルル七世とベッドフォード公、フランスの諸侯と向き合う

- フォワ伯

- ブルボン家

- アンジュー家

- ブルゴーニュ公との新たな接触

- グロスター公とブルゴーニュ公

- シャルル七世とその寵臣たち

- ヨランド妃への「通達」

- カスティーリャから


第四章 ラ・トレモイユ時代(1427〜1433年)①オルレアンとランス

- ラ・トレモイユのビジネス

- リッシュモンの反撃

- アラン・シャルティエ『希望の書』

- 外部からの援助要請

- イングランドの攻撃目標:オルレアンとその先

- ソールズベリー伯の「運命的」な死

- レジスタンス

- シャルル七世とジャンヌ・ダルク:謁見

- 勅令

- 勢力の結集

- ラ・ピュセルの政治神学

- 1429年4月、ブールジュにおける王国の状態

- 国王とオルレアン包囲戦の解放

- ジアン

- トロワの城壁の下で

- ランス


第五章 ラ・トレモイユ時代(1427〜1433)②パリとコンピエーニュ

- 外交問題と軍事的大失敗

- 領土回復

- コンピエーニュ包囲戦の解放

- アントンの戦い

- シャルル七世のジャンヌ・ダルク遺棄:説明の試み

- ブルゴーニュ公の不満

- フランスとブルターニュとアンジュー

- もうひとつの戴冠式

- ラ・トレモイユに対する陰謀と追放


第六章 アラスの和約:同盟破棄と個別講和、外交の失敗と成功(1434〜1439年)

- 前段階

- ジャン・ジュヴナル・デ・ウルサンの聴罪論

- アラス会議

- 反響と反応

- イングランドは?

- パリ奪還

- カレー攻略の試み

- 国王のパリ入城

- 実利的制裁

- 皮剥ぎ:政治的危機

- 1439年の無駄な交渉


第七章 苦労の末の復興、脆弱な基盤(1440〜1449年)

- ジャン・ジュヴナル・デ・ウルサンの『苦難の中で語る』論

- プラグリーの乱

- ポントワーズ包囲戦

- ヌヴェールの集会

- 王の返答

- タルタスの航海

- マルグリット・ダンジュー(マーガレット・オブ・アンジュー)

- 一時休戦とシャルル七世の王権からの離脱

- 軍事改革と軍人の規模拡大

- フランスへの帰還

- イングランドでの使節

- ヘンリー六世によるメーヌの放棄

- 美しいアニエス

- 国王と王太子:新たな不和

- 対立教皇フェリクス五世の分裂の終結

- ルマン解放

- 弓兵隊と後衛隊:武装するフランス人


第八章 最後のレコンキスタへ、3つの段階(1449〜1453年)

- フジェールの略奪

- ノルマンディーの回復

- 第一次ギュイエンヌ遠征

- 第二次ギュイエンヌ遠征とカスティヨンの戦いの軍事的教訓


第九章 勝利の後:王国の秩序を取り戻す

- 隠された私生活と公的な生活

- 貴婦人の擁護者

- シャルル七世の信仰

- 偉大な良心の助言

- トマス・ベイスンの最後の審判

- 財政と司法(正義)


第十章 3つの裁判

- 財務卿ジャック・クールとその裁判

- ジャンヌ・ダルクの再審

- アランソン公の裁判:フランス国王と貴族たち


第十一章 イタリアと十字軍、ブルゴーニュ公と王太子、イングランドと薔薇戦争の始まり

- イタリアの落とし穴から離れて

- 十字軍と十字軍精神から遠く離れて

- 二つの小王国:フランス外交の側面

- 国王、公爵、王太子とその他の人々

- ランスロット王

- 続くイングランドの脅威

- 病気、死、葬儀


第十二章 「よく尽された」シャルル七世と王の仕事

- 顧問たち

- 顧問会

- ジョルジュ・シャトラン『シャルル七世の死の謎』

- 寵愛と「統治者」

- 運命の輪:統治システム?

- 外交官としての国王

- シャルル七世とビジネス

- 王室の華やかさ

- 国王と文学・芸術:端的な関心事


第十三章 シャルル七世、王国とフランス国民

- シャルル七世とフランス

- 国王と臣民の出会い:どの国、どの風景?

- 王室への入り口

- 州議会

- 請願と嘆願


付録

- コインと貨幣経済に関するノート

- シャルル七世:年表

- シャルル七世の署名

- 系図

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