19世紀半ば(8)財務卿ジャック・クールの視点から

(※)おすすめレビュー★★★ありがとうございます!

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 ルイ14世と『コルベールとその行政史』に関する優れた著作で知られるピエール・クレマンは、1853年に『ジャック・クールとシャルル七世(Jacques Cœur et Charles VII)』を2巻刊行した。


 コルベールはルイ14世の財務総監(Contrôleur général des finances)として、ジャック・クールはシャルル七世の国王会計方(Grand Argentier du royaume de France)として知られる。時代によって役職名と権限が少し違うが、どちらも王室費の管理と国家の経済を任されている、いわゆる財務大臣にあたる。


 クレマンは、この有名な資本家ジャック・クールの生涯を辿りながら、様々な評価を受けるシャルル七世と向き合い、この王についてどう考えるべきかを自問している。




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 シャルル七世ほど、さまざまに矛盾した評価を受ける王はいない。

 ほとんどの歴史家が、彼の欠点ばかりを取り上げ、個人的な功績を否定してきた……。


 もし私が、この人物を正しく理解しているとすれば、その時代の正義に反するからと、歴史家の生贄にされてきた……。


 シャルル七世の生涯は、二つの時代にはっきり分けることができる。

 治世の最初の十数年間は、意志の弱さと自信のなさを露呈し、強引に押しつけられた寵臣たちに主導権を握られることを許した。


 ルイ十四世の言葉を借りれば、「王という仕事は、他のどんな仕事よりもを必要とする」ものである。


 ひどい経験と教訓を経て、シャルル七世はより賢く慎重になり、当初は欠けていた自らの意志、政治的な精神力、迅速な行動力をついに身につけた。

 生まれつきの能力ではないにせよ、少なくともその地位の必要性に駆られて、勇敢に戦い、王国からイングランド人を追い出し、財政改革を導入し、よく知られた行為によってガリア教会の自由(ガリカニズム)を確立した。


 私は、シャルル七世が愚かな息子や他の王族たちに対して見せた毅然とした態度のことを言っているのではない。したがって、彼の欠点を探すとしたら、国王としてではなく、個人的な部分にある。


 シャルル七世の欠点とは、主に恩知らずだったということだ。大きな奉仕を完全に忘れたこと、奇妙な醜聞をまき散らす弱さ、特に晩年はあらゆる謙虚さに無関心になった……。


 シャルル七世は司法を改革し、常備軍を組織し、優れた財政制度を発表し、通過の秩序を回復し、行政機関を創設し、封建制に初めて打撃を与えた……。


 本当のことを伝えよう。政治的にも行政的にも、フランスは一種の混沌から抜け出し、新たな時代が始まったと言ってよいだろう……。この時代のすべてを注意深く見れば、新しい社会の真の出発点であったことは誰が見ても明らかだ……。


 当時の年代記を研究すれば、歴代フランス王の中で、生前にこれほど愛され、人気のあった王はいないと想像できるし、そう感じることもできる。

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