7月第1週 根性論が実は最も大事

『長城葡萄酒特制6・解百納干紅葡萄酒(カベルネ?)

 20??

 長城葡萄酒(GREATWALL)』


 今回はかなり特殊な1本である。

 まずラベルが完全に中国語で何もかもが解読不能、おそらく産地は河北省の張家口だと思われる。

 使われている葡萄の品種はアルファベットでカベルネと書いてあるが、どのカベルネに当たるのかは不明である。


 情報が全く不明なこの1本はいただきものだ。

 実は出っぱなしというペンネームの名付け親である友が、中国での仕事のお土産として送って来た。


 ペンネーム誕生秘話はこちらから読んでもらえれば分かると思う。

https://kakuyomu.jp/works/16816927861510983111/episodes/16816927861510987367


 さて、そんな1本を開けてみよう。


 色合いはわりとしっかりとしたルビー、香りはチェリー系の熟した甘さと樽らしい香ばしさがある。

 味にはどっしりとしたボリューム感、レーズンのような甘さも感じる。

 これが意外にも普通に美味しい。


 メイド・イン・チャイナも侮れない。


『スペアリブのコーラ煮』


 長らく冷凍庫に放置していた豚のスペアリブをようやく使う機会がやってきた。

 このワインであれば使っても良いだろうし、ほんのちょっとだけこの日は料理をする時間がある。

 

 じっくりと煮込み料理、そして最高の調味料コカ・コーラを使おう。


 まずはフライパンを取り出し、スペアリブの表面に焦げ目をつけてあげる。

 これでジューシーな旨味を内側に閉じ込める。


 ここで鍋に移しても良いが、面倒くさいのでそのままコーラをドボドボと投入、大きめのニンニク1片、生姜1片(無ければおろしショウガでもOK)、カットしたネギも一緒に入れて20分程煮込む。


 この時点でそれなりに色が付いているが、お好みの濃さの量で醤油を加えてさらに40分程煮込む。


 これだけで簡単に完成だ。


 肝心の味の方であるが、コーラの炭酸によって柔らかく仕上がった肉、甘じょっぱい味付けがたまらない。

 そこに、コカ・コーラの秘密の謎レシピによって、最低限のスパイス以外が不要の味わい深さとなっている。


 そして、ワインと合わせよう。


 しっかりとしたボディの謎の中華ワインと謎レシピのコカ・コーラ煮が組み合わさることで味わい深い食卓になった。

 今回はわかりやすい肉料理であったが、様々な料理と合わせても良いと思う。

 中華ワインのレベルの高さに驚きであった。


 中国もブドウ栽培に適した土地が広大にあるだけあり、しかも多くの本場のワイン産地からの資本も投入されていたりする。

 現在、中国のワイン産業は急成長しており、世界から注目も浴びている。


 対する日本ワインは2度の雨季があるという苦難の土地、どのように立ち回るかが生き残るポイントだろうと僕は思う。


☆☆☆


 先週はヤツラとの戦いで全身がズタボロになったが、この週も引き続き激闘の日々が続いた。

 

 ヤツラ(コウモリ蛾の幼虫)への対策が上手くいったと思いたい程、苗木はグングンさらに伸びていた。

 そして、他の畑のブドウの房もグングンの成長し続けていた。

 

 先週前半はまだまだゴマ粒ほどの大きさだったが、気がつけばあっという間に大豆のように大きくなり房も立派な大きさになってきた。

 しかし、大きくなっては来たが鈴なりに重なり合い、アチラコチラに絡み合っている。


 このままの状態では、梅雨の間に雨に打たれてすぐに腐り果ててしまう。

 そうなる前に房を整理し、雨除けの傘をかけてあげる。


 この作業は昨年にも説明して実行したので詳しくは語らないが、とにかくひたすら地道にやるしか無い。

 たかが知れた広さの畑であるので、一人でもどうにかなる。

 なるが、雨に打たれる時間が短ければ短いほど良いので時間との戦いである。


 というわけで、毎日せっせと房を整理し傘をかけ続けた。

 

 幸か不幸か、この週は梅雨らしくジメジメとした日々であったが、空梅雨を疑うほど雨の日は少なかった。

 おかげで無事に1万4千枚弱をやり遂げた。


 無事に収穫できれば、昨年とほぼ同じ収量になるだろうと思われる。

 ビニールハウスであればこの作業もしないで良いので楽であったが、その設備工事費用は莫大となる。

 どちらも良し悪しであろうが、この作業の良い点の1つは、房の数がわかるので大体の収穫量の計算ができることだろうと思う。


 さて、こうして雨対策はバッチリとできたわけだが、見事に草も立派に伸びてしまっていた。

 この後はひたすら草刈祭りだ。


 久々に乗用草刈機モアちゃんを出動させ、すべての畑を回る。

 とにかく刈りごたえのある草の伸び方であった。


 さらに、2時間だけであったが毎朝5時からバイトに出掛けていたさくらんぼの収穫も終わった。

 これでまた一つ一段落し、肩の荷が軽くなったというものだ。


 だが、今後もやるべき作業はまだまだ多いので、日が短くなるまでは3時起きの日々が続くだろうと思う。


 そうそう、ついにハンターライセンスの講習も土曜日に受けてきた。

 今年中にハンター試験に合格し、無事にオーク共の侵攻を防ぎたいところだ。


 一つずつ着実に試練を乗り越え、次の戦いに向けて気持ちを切り替えていこう。


 来週からは梅雨本番のように雨予報がひたすら続く。

 タイミング悪く次の防除、農薬散布時期に被ってしまったが、どうにか雨の合間に素早くやるしか無いだろうと思われる。

 

 予測のつかない天候のこの時期、上手く立ち回らなければ腐海が誕生することだろう。

 この時期は、今時流行らない根性論が実は最も大事なのだ。


 栽培時期に2回も雨季のあるこの国でのブドウ栽培は、とにかく苦難の道のりなのである。

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