猫はずっとそばにいて。
れなれな(水木レナ)
猫はずっとそばにいて。
私の中に哀しみが、ああ降り積もる。
猫は部屋の端にいて、こちらを見守っている。
どっかりと自分の中に感情を居座らせている私なのに。
猫はいつもそばにいて、自分を顧みてくれるのを待っている。
目が合うとまっすぐに想いを伝えてくる。
私はまばたく。
彼女もまばたく。
ぬう、と鳴く。
もう何度目かのそれを、私は聞き逃す。
部屋は、この部屋はおばーちゃんの部屋。
猫はずっとそばにいて、私が感情をいっぱいに居座らせているのを許してくれている。
自分は脇に、そっといて。
かまってくれるのをただ待っている。
脚を持ち上げたり、壁を見たりはするけれど、じゃまはしないからこちらを向いてと。
だから私は抱きしめる。
心の中心にいていいよと、なでさする。
猫はごろごろいって、気が済むまで居座る。
私の中に、居場所をつくる。
さびしさだけが、埋まっていく。
さびしさだけが、
猫はずっとそばにいて。 れなれな(水木レナ) @rena-rena
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。猫はずっとそばにいて。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます