猫はずっとそばにいて。

水木レナ

猫はずっとそばにいて。

 私の中に哀しみが、ああ降り積もる。

 猫は部屋の端にいて、こちらを見守っている。

 どっかりと自分の中に感情を居座らせている私なのに。

 猫はいつもそばにいて、自分を顧みてくれるのを待っている。


 目が合うとまっすぐに想いを伝えてくる。

 私はまばたく。

 彼女もまばたく。

 ぬう、と鳴く。

 もう何度目かのそれを、私は聞き逃す。


 部屋は、この部屋はおばーちゃんの部屋。

 猫はずっとそばにいて、私が感情をいっぱいに居座らせているのを許してくれている。

 自分は脇に、そっといて。

 かまってくれるのをただ待っている。


 脚を持ち上げたり、壁を見たりはするけれど、じゃまはしないからこちらを向いてと。


 だから私は抱きしめる。

 心の中心にいていいよと、なでさする。

 猫はごろごろいって、気が済むまで居座る。

 私の中に、居場所をつくる。


 さびしさだけが、埋まっていく。


 さびしさだけが、

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