エピローグ

 目覚まし時計の音がする。


「……あと五分」

「じゃねぇよさっさと起きろバカアニキ!」


 布団を引っぺがし、一騎かずきは更に拳を振るう。


「あだっ!」

「朝メシできてっからなー」


 言うだけ言って、一騎は部屋を出て行った。

 氷哉ひょうやは殴られた頭を押さえつつ、起き上がり、着替えを済ませてリビングへ向かう。


「あ、おにいちゃん! おっはよー!」

「おはよう、さやか」

「相変わらずの重役振りで」

「あ、一騎! 最近起こし方雑になってない?」

「知ーらねっと」


 さやかが戻って来て、氷哉を起こす役は二人になったと思われたのだが、さやかは起こす所か氷哉と一緒に寝てしまおうとするので、結局は一騎が氷哉を起こさねばならなくなった。その分の鬱憤もあってか、氷哉の起こし方が日に日に適当になっていっている。


「ほら、おにいちゃん、朝ご飯朝ご飯!」

「あ、うん」

「そういやアニキ、今日の約束憶えてるよな?」

「えっと、夜に寄って欲しい所があるって言ってたよね?」

「そうそう。遅れちゃ駄目だよ」


     ※     ※     ※


「ま、お陰様で今日も遅刻はなし、と」

「お前、弟いなくなったらどうやって生きてく気だよ……。ま、それより少年、聞きたまえ! 今日は素晴らしい出会いの日となるでしょう、だってよ!」

「はいはい……」


 スマホの画面を見せてくる英人ひでとに、適当な相槌を打ちつつ学校へ向かう。


「またお兄ちゃんは占いばっかり……。ごめんね、氷哉君」

「ううん、いいよ。いつもの事だし」


     ※     ※     ※


 さやかを救出して、僕たちは元の時代に戻った。

 あいまもるさんは2500年代へ。僕たちは2000年代へ。

 さやかを解放した事で、2500年代の能力者の暴走は止まった。星は生命力を捧げるのを止めたのか、2500年代の能力者たちは力を失った。


     ※     ※     ※


「今日は転校生を紹介します」


 氷哉たちのクラスに、ざわめきが起こる。

 現れたのは二人の女子生徒だ。


結城ゆうき衛ですっ! よろしくお願いしまーすっ!」


 元気よく挨拶したのは衛だ。

 全く、言ってくれれば迎えに行ったのに。

 氷哉が視線を送った少女は、氷哉の目線に気付いたのか、微笑みながら自己紹介した。


時宮ときみや哀です。よろしくお願いします」




 過去に出会い、共に今を生き、新たな未来を作っていく。

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【中編】CHRONO BREAKERS【完結済】 椰子カナタ @mahonotamago

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