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「おはよう」

 美莉奈の挨拶にワンテンポ遅れて返事が返ってくる。かつての恋人は、勝利を確信したような笑みを見せた。だが布団の中の手は美莉奈の手首をやんわり掴む。どこにも行かないでくれと言っている。

 美莉奈は思わずほくそ笑みそうなのをこらえ、花のような笑顔を浮かべた。君の隣で目が覚めることが、とっても嬉しい。そう見えるように。

 たまらずといった様子で抱き寄せられた。美莉奈は自然に背に腕を回す。

 少し疎遠になったくらいで逃げるようではだめなのだ。恐怖も、ためらいも、愛も忘れるくらい、溺れてもらわねばならない。

 大切な、大事な、人だ。

 だから、お互いがなしでは生きてはいけないのだ。

 長年の努力が実を結び、この上ない幸福を感じる。

「やっと会えたね」

“やっと手に入ったね”

 そっと囁くと、

「うん、会いたかった」

 すぐに熱を帯びた返事が聞こえた。

 美莉奈は笑みを浮かべた。それは様々な意味のこもった喜びを内包していた。

 美莉奈は腕に力をこめる。そうして二人はいつまでも抱き合っていた。

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残光 燦々東里 @iriacvc64

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