第6話
今日は部活が休み…というより、二週間前の定期考査前ということで全部活強制休み。
昼休みから教室に戻ると小雨が降り始めていた。
昨日同様、零士と共にくだらない事を言いながら帰宅していると、分かれ道になり家に向かう。
今日はどうも変なことが起きたせいで疲れた。
それに、雨のせいか偏頭痛が酷い。
天気でこう、身体が言うこと聞かないのはイライラする。
九尾の変な言動は、意味がわからない以上俺自身何も出来ない。意図さえ分かれば、誤解なり、原因なりがわかるもんだが。
どうも偏頭痛のせいで考えがまとまらない。
家に帰ったら今日はさっさと、寝よう。
明日は母さんが話があるとか云々言ってたし。
家が見えてくると、見知らぬ女が立ってるのが見えた。
なんの用だあれ。
思わず訝しげな目で見つめる。というより、多分俺睨んでんな。
「あら、こんにちは」
「うちに、なんか用すか」
上から下までじーっと見つめる。
短い茶色の髪に、黒のサングラス、茶色のトレンチコートに、黒のミニスカート、黒のロングブーツ。そして、真っ黒の傘。
「ねえ、貴方もう…ん?まだって感じかしら」
まだ、そうまだと言った女がもうひとり居た。
「質問に答えてませんけど、うちになんか用ですか」
「いえね、ご挨拶にきたのよ。サヨナラのね」
そう言った瞬間、ポケットからひしゃくを取り出した。
すると、水が溢れ俺の体にかけてくる。
「つめって、なんなん」
そう言いかけた瞬間、かかった水があっという間にその水が身体中をまとい、顔までまとう。
やばい、溺れる!!呼吸が…っ!
ボコボコボコボコ
「うふふ、起きる前に始末するのが早いのよ」
「ぐはっっ」
まずい、溺れる。やばい。呼吸が…!
「うちの子に何すんのよ!」
ばこん!何かがぶつかる音がした瞬間、俺は意識を手放した。
✱ ✱ ✱
白い光が目に入り、目が覚めた。
「ごほっごほっ」
頭がぼーっとする中、家のリビングのソファに横になっていることに気がついた。
「よかった、目が覚めたわね」
そう俺に声をかけてきたのは、母さんだった。
「か、あさん」
「よかった、何も無いみたいで。大変だったわね」
ほっとした顔をする母さんの顔をみて、先程までのことを思い出し、身震いした。
まだ上手く声が出ない。
「もうちょっと横になっていなさい…何が起きたかちゃんと説明するわ」
母さんは自室に戻り何かを手に取り戻ってきた。
「本当は、貴方に何も無く過ごしてもらいたくて知らずのままだったら、良かったのだけどね。何から話しましょうかね」
なにが、なんだか。
何も無く過ごす?
そのとき、リビングにあった時計が0時になった。
「蒼天、お誕生日おめでとう」
「あ、ありがとう…」
いつの間にか、そんなに長い時間寝ていたのかと思うと、母さんが話始める。
「今日で15歳。本当は…明日話そうかと思ったんだけど早い方がいいから話すわね。貴方と…私たちのこと」
身体を起こし、茶色の小箱を手に座る母さんと俺は向かい合った。
スローバック. 見えない顔 涼波音 @hanonn1002
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