精神感応②
体をのけぞらせるのをやめるナガン。
ナガン「おじいさん……わかるの?」
昌爺「触れた瞬間わかりました。この世ならざる者の魂が宿った刀だと。なぜなら拙者も同類だから」
ナガンは後ろに4歩下がり、昌爺から距離をとる。
昌爺「
ナガン「田代先生の……師匠!?おじいさんが!?」
昌爺「左様。田代は5歳から30歳まで拙者の剣術道場で居合道を学んでいました」
ナガン「そういえば田代先生も一人称が『拙者』だった……師匠の影響だったってこと?」
昌爺「田代は小さい頃から拙者の真似をする子でした。だからこそ拙者の技を次々に吸収し、剣士としても急成長していった……田代は間違いなく、拙者の一番弟子」
ナガン「……なんか怪しい。田代先生のことに詳しそうだけど、探偵を使えばある程度の情報は簡単に集められる。田代先生をダシに私に声をかけてきたド変態ナンパジジイという疑念を晴らす根拠にはならない」
昌爺「そうですか。では、これを見れば信用していただけますかな?」
昌爺は床についていた杖の中程を左手で掴み、右手で先端のほうを逆手に握る。そして右手を上に少しだけスライドさせた。杖の中から銀色に光る刃が覗く。昌爺は体を一回転させ、右手で仕込み杖を振り抜いた。昌爺の背後を歩いていたスーツ姿の男性3人の首が
ナガン「!?」
駅構内に絶叫が響き渡り、ナガンと昌爺の周りから引き潮のように人々が離れていく。
昌爺「この居合の腕こそ、拙者が田代の師である証」
ナガン「何てことを……」
昌爺「刀を抜きなされ、荒川 ナガン。そして拙者とサシで勝負するのです。断れば、この駅にいる人間を全員斬り殺します」
ナガン「……シゲミさんから連絡があった、私たちを狙う敵か。その技量、田代先生の師匠だってことは認めるよ、おじいさん。でもその精神は田代先生とは別物。先生は道行く人を斬り殺す残虐な人ではなかった」
昌爺「貴殿は田代の本性を知らないようだ。彼も拙者と同じ、血と金に飢えた殺し屋ですよ」
ナガンはスカートの右ポケットからスマートフォンと無線イヤホンを取り出す。イヤホンを両耳に入れ、スマートフォンで、除霊効果がある
ナガン「音楽を聴きながら戦うの、悪く思わないでね。こうしないと私の精神が乗っ取られてしまうの。でも安心して。アナタの声は聞こえてるから、断末魔の叫びは聴き逃さない」
昌爺「結構。全力を出せる形で戦ってくだされ。『礼儀がなってない』なんて無粋なことは言いませんよ。むしろ最近の若者らしくて良い」
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