動物対話④

サシミは右手の指の間に挟んだ4本の針を出汁素だしもとに向かって投げつける。しかし水中から飛び上がったイタチザメが射線に割り込んだ。針はイタチザメの体に深く突き刺さる。針が刺さったイタチザメは力なく水中に落下した。



出汁素「言い忘れてましたがぁ、イタチザメは攻撃だけでなく防御にも応用可能なんですよねぇ!」



下唇を噛むサシミ。



キリミ「直線的な攻撃はまず当たらねぇか。アイツもサメに指示を出すだけで自分からこっちには近づいてこないだろう……サシミ、策がある。耳を貸せ」


サシミ「私も考えていることがあるの」


出汁素「作戦会議の時間なんて与えるわけありませんよねぇ!?」



イタチザメが水中を泳ぎ、キリミとサシミが乗る足場に急接近。そして2人目がけてジャンプした。キリミはサシミの頭を左手で押さえつけ、自身も体をよじりながらイタチザメをかわすと、逆手に握ったコンバットナイフですれ違うイタチザメの腹部を大きく切り裂いた。出血しながら水中に飛び込むイタチザメ。



キリミ「バーカ。アタシら双子。考えることは大体同じ。作戦会議は2秒あれば充分なんだよ」



キリミは足場を蹴って、水面へと左足を伸ばす。



出汁素「作戦とは名ばかりの自決ですかぁ!?」



キリミは左足が着水した直後、右足を前に伸ばした。そして右足が着水する前に左足を水面から離す。この動きを高速で繰り返し、水飛沫を上げながら水面を走る。



キリミ「ぬぉぉトムソンガゼルのユウタに勝ったアタシの脚力を舐めるなぁぁぁ!」


出汁素「何ぃぃ!?水面をぉぉ!?」


サシミ「お姉ちゃんすごい!バカみたいだけど本当に水の上を走ってる!」



水上を駆け抜け、出汁素へ接近するキリミ。そして出汁素の胴体を狙ってコンバットナイフを振る。しかしナイフは出汁素の巨大中華包丁に受け止められた。


足をバタつかせながら必死で水上にとどまるキリミ。そのまま出汁素と切り結ぶが、次第にキリミの足の動きが鈍り、全身が水中に沈む。



出汁素「所詮は子どもの考えた愚策……否ぁ、無謀ぅ!イタチザメたちよぉ!ご飯ににしちゃいなさいねぇ!」



キリミが沈んだ地点にイタチザメが次々集まる。水の中から立ち上る血で水面が赤く染まった。


サシミは、再び出汁素に向かって針を4本投げつける。



出汁素「無謀無謀無謀ぅぅぅぅ!イタチザメよぉ!私をガードしてくださいぃ!」



しかし出汁素の声に応えるイタチザメはおらず、針は出汁素の眉間と心臓に2本ずつ刺さった。



出汁素「ええ……何故ぇ……?」



サシミのすぐ足下の水面からキリミが顔を出し、足場に乗る。その体には傷一つない。



出汁素「お前は……イタチザメにぃ……」


キリミ「食われたと思ったか?水中でサメと一戦交えるのは一か八かだったが、魚に遅れをとるアタシじゃない。お前が見たのは、アタシが水中で殺したイタチザメの血だ」


出汁素「!?」


サシミ「サメは血の匂いに反応して襲いかかる。それが同族の血であってもおかまいなし。だから可哀想だけど、何匹か犠牲になってもらった」


キリミ「イタチザメってのは好奇心旺盛なんだろ?なら大量の血を水中に流せばそっちに気を取られて、お前の言葉を無視するんじゃないかと思ったわけだ」


サシミ「そしてアナタの油断を誘い、私の針を当てる。お姉ちゃんの水上走行はアナタの気を引きための囮……っていうかパフォーマンス?」



サシミは針を16本投げつけ、出汁素にトドメを刺す。全身に針が刺さった出汁素の体は霧散した。

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2024年11月26日 21:00
2024年11月27日 21:00
2024年11月28日 21:00

殺し屋ポルターガイスト ジロギン @jirogin

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