Sales , Management & Delete(全3話)
Sales , Management & Delete①
PM 2:12
ガラス製のローテーブルを挟むように置かれた2つの黒革のソファ。片方に白いスーツを着た組長・
ドンゾウ「つまりアンタらは幽霊だから、幽霊を殺せると」
向風「ええ。浜栗組は、組員の方々が
ドンゾウ「なるほど……」
向風「組長の娘さんまで襲われたそうですね。娘さんを危険な目に遭わせないためにも、我々と手を組むのはいかがでしょう?」
ドンゾウ「……要検討ですな。ウチは幽霊に詳しい家庭教師を雇ってる。それに後ろの蟹沢は爆弾魔・シゲミとコネクションがあるのでね。以前と違い、幽霊に対抗する手段が全く無いわけではない」
向風「シゲミを始め、既存の怪異暗殺者は全員いなくなる、と予告しておきましょう」
ドンゾウ「怪異暗殺者がいなくなる……?」
向風「そうなれば、否が応でも我々の力が必要になるはずです」
ドンゾウ「……どうしてもアンタを疑いの目で見てしまいますな、向風さん」
向風「信用できないのでしたら、この場で幽霊殺しを実演することも可能ですが」
ドンゾウ「殺し方はどうだっていい。私が気になるのは、実績のない新興勢力であるアンタらが既存の怪異暗殺者を押しのけられるかのように語る口ぶりと、その方法ですよ」
向風「……それについては契約が決まってからお話しします。すぐにとは言いません。じっくりご検討ください。」
向風は立ち上がり、事務所を後にした。ドンゾウは背後の蟹沢に、向風が座っていたソファに腰掛けるよう促す。
ドンゾウ「向風という男の身元と、今後の動向を調査しろ。『我々』と言っていたから、すでに人数を集め組織化してる可能性もある。関係者がいれば全て洗え」
蟹沢「わかりました。しかし
ドンゾウ「幽霊の始末を格安で請け負ってくれるというのは魅力的だ。向風の言うとおり、武里村のような幽霊が今後も現れないとは限らない。つながっておいて損はないというのが正直な感想だ」
蟹沢「
ドンゾウ「そうだ。ならば向風と手を組むことにはメリットがある。しかし、やはり気になるのはヤツが言った『既存の怪異暗殺者は全員いなくなる』という言葉。蟹沢、これを聞いてどう思った?」
蟹沢「……向風はシゲミたち怪異暗殺者を潰そうとしている」
ドンゾウ「私も同じだ。この推測が当たっていれば、向風が作っているであろう組織とシゲミ一家が衝突することになる。そのときにウチが向風に与していたら、シゲミ一家はウチも攻撃対象に入れるかもしれない」
蟹沢「一方で向風は、ウチがシゲミとコネクションがあると聞いてもなお取引を持ちかけてきた……現状維持を決め込めば、向風の組織からもシゲミ一家からもウチが攻撃対象になることはない」
ドンゾウ「シゲミ一家だけでも脅威だが、彼女らの後ろには多くのVIPがついている。シゲミ一家と敵対するということは、そのVIPたちの敵になるのと同義。ウチなど一捻りだろう」
蟹沢「現状を維持しつつ、向風とシゲミ一家を潰し合わせて勝ったほうにつく、ということですか?」
ドンゾウ「合理的に考えるなら、それがベスト。だが、シゲミちゃんはミキホの友人であり、組員たちを救ってくれた恩人だ。彼女に危機が迫っているなら、少しでも力を貸したい。まずは彼女の敵が何者かを調べ上げ、できる限り早く知らせる」
蟹沢「……さすがは
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