市目鯖高校文化祭③

シゲミの戦いを見ていたカズヒロ、サエ、トシキは喜び、ユウカに笑顔を向ける。



カズヒロ「今の見てたかー?あれが心霊同好会の最強メンバー・シゲミだぜー!」


サエ「どんな悪霊だろうが爆弾で吹き飛ばしてくれるから、超頼もしい〜!」


トシキ「心霊スポットに行ってもシゲミちゃんがいれば心配なし!どう、ユウカちゃん?もっと興味がわいたんじゃない?」


ユウカ「……心霊同好会って、いつもこんなことしてるんですか?」


カズヒロ「毎回じゃないけど、2〜3週間に1回くらいはあるかなー」


サエ「武里村ぶりむら校長の幽霊事件もウチらが……っていうかシゲミが解決したし」


ユウカ「何やってるんですか!?こんな同好会にいたら、命がいくつあっても足りませんよ!頭おかしいでしょアンタら!」



声を荒げるユウカ。カズヒロ、サエ、トシキの表情が引きつる。ユウカの大声を聞いたシゲミも、遠くで図星を突かれたような表情を浮かべた。



ユウカ「シゲミさんはあんな危険な幽霊に狙われてるんですか!?だったら同好会にいること自体危ないじゃないですか!しかも爆弾なんか使って!私、やっぱり入りません!この話は無かったことにしてください!」



駆け足で階段を下っていくユウカ。沈黙するカズヒロたちのもとに、シゲミが近寄る。



シゲミ「……あの子の言ってること、正しいと思う。みんなごめんね、いつも巻き込んで」


カズヒロ「……いや、もしマジで嫌なら俺たちも同好会やめてるから。全然気にしてないぜー」


トシキ「むしろ楽しんでるよ……ほんと、シゲミちゃんがいるから同好会の活動が楽しいんだって!」


シゲミ「……私はシゲミを友達だと思ってるし、幽霊を殺す仕事なんて関係なくこれからも遊びたいと思ってる!もちろん同好会の活動も一緒にやりたい!」


シゲミ「みんな……ありがとう」



4人は涙をこらえながら、悲しい気持ちを押し殺すように笑った。



−−−−−−−−−−



市目鯖しめさば高校の南東、約300m離れた高層マンションの屋上。柵に両肘をつき、双眼鏡で市目鯖高校の屋上を覗く避山ひやま。両目を双眼鏡から離す。



避山「ただの殺し好きな幽霊ごときじゃ、2人がかりでも爆弾魔・シゲミの足下にも及ばない。同じようなのを何人送っても返り討ちでしょうね。やっぱ、特殊な力が覚醒した幹部じゃなきゃ歯が立たないっすよ」



避山の左隣、柵にもたれかかるように立つ黒と白のボーダーのTシャツを着た男・向風むかいかぜ



向風「彼女はまるで野生のシャチだ。獲物を始末する前にもてあそぶ余裕を見せている。一筋縄ではいかないね」


避山「シゲミは後回しにして、ヤツの祖母・ハルミから狙いましょう。ハルミも凄腕の怪異暗殺者でしたが、ここ十数年は実戦から離れている。現役バリバリのシゲミより仕留めやすいと思います」


向風「どのみちシゲミの家族は全員殺すんだ。順番は任せるよ。もし、私たちの仲間になるか聞いてみてくれ」


避山「引き入れるんですか?」


向風「幽霊を暗殺して金を稼ぐという目的は、彼女も私たちも共通している。だから『仲間になりたい』と言うのなら快く歓迎するよ。しかし勧誘はマストではない。駆除することを優先してくれ」


避山「撃山 九連うちやま くれん荒川あらかわ ナガン、広背ひろせ モモについても同じ条件で?」


向風「構わない」


避山「了解っす。あっ、それから明日の夜11時、BAR ヤリーカに幹部を集めます。幹部会……とか名付けるのは恥ずいっすけど、とりあえず第1回目の顔合わせってことで」


向風「では私も出席しよう」



<市目鯖高校文化祭-完->

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