吸血鬼 VS 盗撮魔③
PM 10:22
血吸「市目鯖高校の周囲10kmに、コウモリちゃんを200匹飛ばしました。
蟹沢「そんなことも出来るんですね。ウチの組員を使うよりよっぽど効率的だ」
血吸「コウモリちゃんたちは日中寝ているので、夜にしかできない探し方ですけどね」
蟹沢「だとしてもお釣りが来るくらい有用……今すぐにでもウチの組に入ってもらいたい」
血吸「だからヤクザにはなりませんって!」
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PM 11:08
ほとんどの店がシャッターを閉め、人通りの無い商店街を横並びで歩く
武里村「キミたち、浜栗組の人間だね。私を探すためにこんな遅くまで残業しているんだろ?仕事が早く終わるよう、私のほうから出向いてあげたよ」
三丁拳銃のタカヒロ「……コイツであってっぺか?」
腹切りコウジは尻ポケットから紙を取り出し、武里村の顔と紙に印刷された顔写真を見比べる。
腹切りコウジ「間違いねぇ!武里村だべ!」
三丁拳銃のタカヒロ「捕らえて
武里村「キミたちは私を認識した……はい笑って」
武里村の頭からシャッター音が鳴る。
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血吸のもとに1匹のコウモリが戻ってきた。
血吸「見つけました。北北東、約3km先にある商店街で武里村が組員2人と接触したようです。私が先行します。蟹沢さんも後から来てください」
血吸はマントを広げて屋上から飛び降りると、ムササビのように飛行する。
蟹沢「飛べるのかよ……何があってもウチに引き入れよう」
高速で滑空する血吸は、商店街の真上にさしかかった。高度を下げ、武里村らしき人物を探しながら商店街に沿って飛び続ける。途中、倒れている2人の男性を見つけた。血吸が浜栗組の事務所で紹介された殺し屋、三丁拳銃のタカヒロと腹切りコウジ。死んでいるかのように動かない。
血吸は2人を飛び越え、元凶であろう武里村を追う。そして商店街の中を走る武里村を見つけた。
上空から武里村を目がけて急降下する血吸。両手で武里村の背中を押して倒し、馬乗りになる。
血吸「捕らえたぞ武里村。そしてこの感触……やはり霊体か」
武里村「何だキミは?……空からどうやって……それになんてパワーだ。週4でスポーツジム通いをしていた私を押さえつけるなんて」
血吸「吸血鬼なのでね、人間基準で考えないほうがいい。さぁ今すぐミキホさんを、貴様が襲った人たちを元に戻せ」
武里村「……参ったな。魂を奪う方法は分かるが、戻す方法は試したことが無いし、試す気も無くてね」
血吸は武里村の頭を掴み、地面に力いっぱい押しつける。
血吸「ならば貴様を浜栗組に引き渡す。私は幽霊が嫌がることをよく知っている。それを彼らに教えれば、貴様を拷問し続けるだろう」
武里村「それは困るなぁ……」
血吸「犠牲者の魂を元に戻し、今後一切その力を使わないと約束すれば見逃してやってもいい」
武里村「……分かった。だが魂を元に戻す方法を試したことがないというのは本当なんだ。だからこの場で試させてもらえないか?」
血吸「変なことはするなよ。私は幽霊をこの世から消す方法も心得ている」
武里村「ああ。しかしこの体勢だと上手く力が入らないのでね。背中からどいてもらいたい」
血吸は武里村から手を離し、立ち上がる。押さえつけから解放され、仰向けになる武里村。
武里村「吸血鬼か、初めて見たよ……記念に写真を撮らせてくれ」
武里村の頭からシャッター音が鳴る。
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10分後、蟹沢を乗せたタクシーが商店街の入口に到着した。タクシーを降りてジャケットの内ポケットから
蟹沢は倒れている三丁拳銃のタカヒロと腹切りコウジを発見。2人の間にしゃがみ込み、それぞれの手首に指を当てて脈拍を確認する。2人とも生きている。
蟹沢「血吸先生ー!どこです!?血吸先生ー!」
大声で血吸の名前を叫びながら、静かな商店街を走る蟹沢。150mほど進んだ先で血吸が地面にうつ伏せで倒れていた。武里村の姿はどこにもない。
<吸血鬼 VS 盗撮魔-完->
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