明鏡止水
ポコポコの母との戦いから2週間が経過。戦いに参加した殺し屋たちは、それぞれの生活に戻っていた。
実験用の大きな机を囲むように座る、心霊同好会のカズヒロ、サエ、シゲミ、トシキ。遅れて部屋に入ってきたジンが空いている椅子に座る。
サエ「昨日、
カズヒロ「見た。もう1500万再生超えてたぜー。すげー影響力だよなー」
シゲミ「私はまだ見てないけど、目立ち過ぎな気がする」
トシキ「広背モモとポコポコの母以外は顔にモザイクがかかってたから安心して」
ジン「思った以上に世間はポコポコの母に注目してたんだね。ネットニュースでも取り上げられてるし」
サエ「そりゃ、ポコポコが近年稀に見る大犯罪者だった上に、その母親も相当ヤバいことやったからね〜」
シゲミ「ポコポコ関連はもう勘弁してほしい」
カズヒロ「にしても、モモがさらに遠い存在になっちまったなー……今度はテレビにも呼ばれて、もっとファンが増えるんだろうなー……モモぉー……」
トシキ「また連絡取ればいいじゃない」
カズヒロ「バカ野郎!今回は特例で、本来ファンがタレントを呼び出すなんてタブー中のタブーなんだぞ!」
シゲミ「出た。厄介ファン」
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市目鯖高校 空手道場
男子空手部員45人が横向きで3列に並ぶ。少し離れて向かい合うように立つキョウイチ。その左隣にキリミとサシミが並んでいる。
キョウイチ「今日は特別に、外部から練習相手をお招きした。2年C組シゲミさんの妹、キリミちゃんとサシミちゃんだ」
小学生としか思えない2人を見てざわつく部員たち。
キョウイチ「まだ幼い彼女らだが、実力はすでに超高校級だ」
サシミ「よろしくお願いします」
キリミ「んだよ、全国王者がいる空手部だから期待してたけど、他はヒョロガリのナナフシって感じだな」
サシミ「もうお姉ちゃん!本音言わないの!」
キリミ「ざぁこ、ざぁこ、ナナフシ」
部員たちの最前列中央、丸刈りで青ひげを生やした長身の男子が1歩前に出る。
タカシ「ほう、言うじゃないか、お嬢ちゃん。なら、市目鯖高校空手部ナンバーツーの俺、『下段蹴りのタカシ』と一戦交えようぞ!」
キリミ「いいぜ。5秒でノックアウトしてやる……かかってこいよ、『
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東京駅八重洲口から徒歩10分ほどのところにあるコインパーキング。駐車していた白いテスラの運転席の扉を開けるキョウカ。ストロベリーが飛び乗り、奥の助手席に座る。
キョウカ「見送りなんて別に良かったのに」
キョウカの視線の先には、車椅子に座る
撃山「いやまぁ、その、なんだ、ちょっと頼みたいこともあってだな」
キョウカ「何?」
撃山「拘置所にいる
キョウカ「……分かった。作戦に加えてもらったお礼ができてなかったから、いつでも呼んで」
撃山「恩に着る」
運転席に座り扉を閉めるキョウカ。
キョウカ「行こう、ストロベリー」
ゆっくりと発進する車に向かって手を振る撃山。キョウカの車は遠ざかり、やがて撃山から見えなくなった。
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都内某所 墓地
大きな供養塔の前に立つ、ブレザー姿のナガン。供養塔は共同墓地で、田代の遺骨が納められている。ナガンは供養塔の前に持参した花を供えた。
ナガン「田代先生、ポコポコの母は私の……いや、先生と私の仲間たちが始末してくれました。先生が復讐を望んでいたかは分からないけれど、今の私はすっきりしています。だから先生もどうか、やすらかに」
風が小さく吹き、花がお辞儀をするように上下に揺れた。
<VS ポコポコの母-完->
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