咆哮と燃焼
左腕を水の斧に変えて振り上げるポコポコの母に向かって、キョウカは続ける。
キョウカ「そういえば、この子もアナタに言いたいことがあるんだって」
ポコポコの母は斧をキョウカ目がけて振り下ろす。
キョウカ「ねぇ?ストロベリー」
キョウカの横で座っていたストロベリーが飛び上がり、巨大な斧と化したポコポコの母の腕の中ほどを噛みちぎる。ちぎれた斧の先端はキョウカに当たる寸前で霧散した。
ストロベリー「グルルルルッ!バァウ!(細かいことは分からないけど全部お前のせいだ!)」
ポコポコの母「この……『欠陥品』ども……」
ポコポコの母は鬼のような形相でキョウカとストロベリーをにらみつける。
モモが思い切り息を吸い込む。撃山とキョウカはポケットから耳栓を取り出し、両耳に入れた。そしてキョウカは両手でストロベリーの耳を押さえる。
ポコポコの母の右腕が渦を巻き、鋭いドリルに変化した。ドリルでキョウカの顔面を貫こうと、ポコポコの母は椅子を蹴って飛びかかる。
モモ「きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
モモの超音波が響き渡った。顔をゆがめる撃山、キョウカ、ストロベリー。屋敷中のガラスが全て粉々に割れる。空中にいたポコポコの母は超音波により体の形状を保てなくなり、水飛沫となって机や床、天井に飛び散った。
モモ「やぁぁぁぁきぃぃぃぃぃぃぃぃおふっ!ゲホッ!ゴホォ!おえぇ……もう無理……声でない……」
撃山「十分、いや
ポコポコの母「……あのときの騒音女……やはり真っ先に殺しておくべきだった……」
撃山「体が飛び散ってもしゃべれるのか。お前ら親子にはビックリさせられっぱなしだよ」
キョウカ「私はもう満足したから、後は任せるわ」
撃山「ああ」
撃山は前屈みになり、車椅子の底部に取り付けられたネットに手を伸ばす。透明な液体入りの瓶と100円ライターを取り出した。瓶のキャップを外し、中の液体をポコポコの母の体が飛散した箇所にまく。
ポコポコの母「無駄だ……私は
撃山「やはり水神か。ならばこれで成仏させられるな。シゲミ嬢ちゃんの母ちゃんがキャバ嬢時代に実践した、水神を成仏させる方法」
液体を全てまき終えると瓶を投げ捨て、100円ライターを親指でこする撃山。
撃山「酒を燃やし、高火力で水分を蒸発させる。それが水神を成仏させる方法だ。俺がまいたのはアルコール度数96%の酒、スピリタス。
火が灯った100円ライターを投げる撃山。床に落ちてスピリタスに引火し、燃え広がった。
ポコポコの母「あああ熱い!熱い!あつぅ……かかか体があああぁぁぁ私の体がぁぁぁぁクソどもぉぉぉぉぉ!」
撃山「息子のところへ逝け。お前1人でな」
モモ「やった……私が役に立ったんだ!私の力は今日このときのために……」
キョウカ「……もしトモミさんから水神の殺し方を聞いてなかったら、どうするつもりだったの?」
撃山「コイツを容器か何かに入れてとっ捕まえて、アイドルの嬢ちゃんのCDを延々と聞かせるつもりだった。実質的な死を与える拷問ってところだな」
モモ「私の曲、聞いた人が楽しくなるようにと思って歌ったんですけど〜……拷問に使われそうだったなんて〜」
キョウカ「とりあえず、早く逃げましょ」
撃山「もうちょっと待ってくれないか?完全に蒸発するのを見届けたい」
モモ「私も撮れ高が欲しくて〜」
キョウカ「ここ書斎よ?チンタラしてると周りの本に燃え移って炎が一瞬で大きくなる」
撃山「……逃げるぞ」
撃山、キョウカ、モモ、ストロベリーは、書斎の入口へと駆ける。入口から出た瞬間、書斎が爆発。爆風で飛ばされた4人は1階まで吹き抜けを落ちていった。
−−−−−−−−−−
燃え上がる屋敷を外の庭園から眺めるシゲミ、ジン、キョウイチ、ナガン。遠距離狙撃をしていたジン以外、体は傷だらけ。特にナガンは足に深い傷を負ったため自力で立てず、キョウイチに背負われている。
ナガン「さっき救急車を呼びましたけど、消防車も呼ばないとダメですね」
シゲミ「撃山さんたち、やり過ぎ」
ジン「シゲミさんがそれを言うのかい」
入口から、ところどころ火傷を負った撃山たちが飛び出てくる。
撃山「ポコポコの母は仕留めたぁぁぁぁ!でもここは危ねぇぇぇ!」
屋敷の至るところで爆発が起きる。シゲミたちは屋敷を背に猛スピードで敷地から逃げ出した。ポコポコの母の体は大爆炎の熱により完全に蒸発。同時にポコポコの母の意識もバラバラになり、二度と復活することはできなくなった。
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