カマイタチ戦いニキの弟子ナガン VS 水鎌鼬
撃山は左足を乗せている車椅子のフットサポートを強く踏む。背もたれに取り付けられたターボエンジンが火を噴き、車椅子が勢い良く前進。撃山は両足を伸ばし、車椅子の推進力を利用して屋敷の正面玄関を蹴り開けた。後ろからキョウカ、ストロベリー、モモ、ナガン、キョウイチが続く。
屋敷の中は大きなホール状で最上階の4階まで吹き抜けになっており、入口から見て奥にある巨大な螺旋階段で全ての階がつながっている。
人の気配は無い。執事たちは全てシゲミとジンのほうへ向かい、屋敷内は空になっている。
キョウカ「ストロベリー、水と血の匂いが一番強い場所を探して」
鼻を鳴らしながら空中や床の匂いを嗅ぐストロベリー。
撃山「どうだワンちゃん?1000人以上殺してるポコポコの母ちゃんには血の匂いがベットリ染みついてるに違いねぇ!少なくとも何か……ポコポコに似てる匂いがするはずだ!」
ストロベリー「ワン!ワン!ワン!(こっちだ!ついて来い!キョウカ様とその他の足手まといども!)」
ストロベリーが5人の前に出て、匂いのするほうへ案内しようとする。そんなストロベリーを遮るように、2階から何かが飛び降りてきた。全身が水でできたイタチ。両手が鎌のように鋭くとがっている。
撃山はホルスターサスペンダーから
撃山「ポコポコの母ちゃんの手先か……こいつは」
ナガン「
ナガンは袴のポケットからスマートフォンと無線イヤホンを取り出した。両耳の穴にイヤホンを入れ、スマートフォンを操作しポケットに戻す。
ナガン「ここは私に預けて、先に進んでください。田代先生が鎌鼬と戦った動画は500回以上見ました。この中では私が一番、鎌鼬との戦い方を心得ています」
撃山「……頼むぜ」
ナガンは左腰に帯びた妖刀・
ストロベリーが先導し、撃山たちがナガンの横を駆け抜ける。螺旋階段を上るストロベリー。その後ろにキョウカとモモが続く。最後尾のキョウイチは車椅子のタイヤを掴み、怪力で撃山ごと車椅子を頭の上まで持ち上げて階段を駆け上がる。
激しく切り結ぶナガンと水鎌鼬。水鎌鼬の攻撃は、ナガンが動画で見ていたものと非常に似ていた。どの角度から攻撃が来るか予想し、瞬時に防御、反撃するナガン。しかし身軽な水鎌鼬はナガンの刃を軽々とかわす。
水鎌鼬「音楽ヲ聴キナガラ戦イヤガッテ……舐メプシテルノカ?」
ナガン「あら、しゃべれるの。これは舐めプじゃない。妖刀・乳房を長時間使い続けるための方法。今の私では、乳房を握り続けているだけで宿った魂に精神を乗っ取られてしまう。でも除霊効果がある
防戦に回っていたナガンは一気に水鎌鼬との距離を詰め、刀を下から上に振り上げる。水鎌鼬の左手が床に落ち、ただの水に
ホールの壁を蹴って、縦横無尽に飛び回る水鎌鼬。飛びながら残った右手の鎌でナガンの体を切りつける。水鎌鼬の動きを止めようと刀を振るナガンだが、そのスピードはナガンの反応速度を超えており、容易には捉えられない。一つひとつは浅いものの、幾多の傷がナガンの体についた。
水鎌鼬「コノママオ前ノ体ガ消エルマデ削ッテヤル」
ナガンは刀を振り回すのを止め、左腰の
水鎌鼬「コノ傷ハ深イゾ。出血多量デアノ世行キダ」
ナガン「いったぁー!……けどこれでいいの。この傷はアンタが深くつけたんじゃない。私があえて深く刺されたの。アンタの動きを止めるために」
水鎌鼬は右手の鎌を引き抜こうとするが、ナガンの太ももの筋肉が絡みつき、抜けない。
ナガン「田代先生は胸筋で鎌鼬の動きを止めていたけど、そんな超人的なことは私にできない……でも人間の体で最も筋肉量が多い太ももでなら、私でもアンタの動きを止められる」
ナガンは鞘から素早く刀を振り抜き、水鎌鼬の体を下から上に真っ二つに切り裂いた。水鎌鼬は床に落下し、水たまりと化す。
その場に尻餅をつくナガン。刀で袴の裾を切り、包帯代わりに太ももに巻き付けた。
ナガン「田代先生、地獄で見てましたか?私も鎌鼬に勝ちましたよ……今度は私が、カマイタチ戦いネキとして有名になってみせますからね」
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