シゲミんち(全2話)

シゲミんち①

湯出蟹食堂ゆでがにしょくどうでシゲミたちが撃山うちやまと話をしてから2日後。


AM 11:00

シゲミ一家の邸宅前

空手道着姿のキョウイチが、大きな門の隣に設置されたインターホンを押す。キョウイチの横には市目鯖しめさば高校のブレザーを着たジン。


5分後、上下ピンク色のスウェットを着たシゲミが現れ、門を開けた。



シゲミ「いらっしゃい。どうぞ入って」


キョウイチ・ジン「お邪魔します」


門をくぐるキョウイチとジン。その後ろから心霊同好会のカズヒロ、サエ、トシキが続く。3人ともブレザー姿。


カズヒロ・サエ・トシキ「お邪魔しまーす!」



シゲミの案内で広い庭の中を歩き、巨大な日本家屋の前にたどり着いた5人。同級生があまりに大きな家に住んでいることを知り、呆然としている。1人を除いては。



トシキ「ボクはポコポコ教の洗脳解除合宿で泊まらせてもらってたから、シゲミちゃんの家は第二の実家だと思っているよ」


カズヒロ「偉そうだなー」


サエ「ていうかシゲミ、ウチらも泊まって本当に良いの〜?キョウイチとジンくんはやることがあるけど」


シゲミ「母が『せっかくならもっと大勢呼んで良い』って言ってたし、サエちゃんたちとは広背ひろせモモを説得するための打ち合わせもしたいから」


カズヒロ「じゃあ俺たちは、シゲミが選抜した『友達代表』ってところかー」


シゲミ「代表っていうか、私、同好会のみんなしか友達いないから。これで全員」


カズヒロ「……そっか。なんかゴメンなー」



スライド式の扉を開け、玄関に入る。シゲミの母・トモミが出迎えた。



トモミ「みなさん、よく来てくれました。全員分の個室を用意してありますから、自分の家だと思ってくつろいでくださいね。お昼ご飯は13時にできますので」



キョウイチ・ジン・カズヒロ・サエ・トシキ「お世話になります!よろしくお願いします!」



靴を脱いで家に上がる6人。トモミはひと足先に廊下の奥へと消える。



シゲミ「みんなの部屋は2階だよ。空いてる部屋はどれでも好きに使って」


サエ「マジすごいね〜、シゲミんち」


トシキ「お母様も美人だし。でもボクはお祖母様のほうが好みなんだよなぁ」


ハルミ「アタシャを性的な目で見るなんて500年早いわ!」



廊下を進む6人の背後からシゲミの祖母・ハルミが大声で話しかける。



トシキ「ハ、ハルミさん!」


ハルミ「久しぶりじゃのぉ、トシキくん。またハルミ'S ブートキャンプを受けに来たのかい?前より6割増しに強化したトレーニングを用意しとるぞ」


トシキ「いえもう結構ですぅ!洗脳は完全に解けましたのでぇ!」


ジン「お祖母様ですね。俺、シゲミさんの同級生で、ジンっていいます。お祖母様が実弾射撃を教えてくださると聞いて来ました」


ハルミ「そうか、そうか。ええじゃろう。地下室に来ておくれ。外で撃つと警察に文句言われるからのぉ。アタシャのことはハルちゃんと呼びなさい」


ジン「お願いします、ハルちゃん」


トシキ「ボクでもまだちゃん付けで呼ばせてもらえないのに!ジンのヤツ、一瞬でハルミさんとの距離を縮めやがった!顔が若干整ってるからか!?小癪なギリギリイケメンが!」



ジンはハルミについていき、地下へ続く階段を下っていく。



キョウイチ「シゲミさん、妹さんはどちらに?もし良ければ、食事の前に少し手合わせしたいんだけど」


シゲミ「1階に道場があるから、案内するよ。妹たちは先にスパーリングしてる。空手の高校生チャンピオンが来るって言ったらノリノリだったから、相手してあげて」


キョウイチ「押忍!期待に応えましょう!」


カズヒロ「じゃあ俺たちも早速、モモを口説き落とす作戦会議するかー。荷物置いたら俺の部屋に集合なー」


サエ・トシキ「了解」


シゲミ「カズヒロくん、広背モモとは接触できそう?」


カズヒロ「マネージャーから返信があったぜー。俺のこと覚えてくれてたみたいで、3日後の14時ごろに時間を取ってくれるらしい。向こうもポコポコの母に興味があるみたいだなー」


シゲミ「ありがとう。ウチの住所を伝えてくれる?ここなら外で話すより安全だから」

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