ブラックウォーターガン③
末鬼の注意を液野から逸らすため、上蒸も口論に加勢する。
上蒸「社長。今だから申し上げますが、社員の負担を考えないアナタの経営にはもう誰もついて行く気がありません。会社もそう遠くない未来に倒産するでしょう。すでに退職した者も多数……そんな状況でも働き続けている既存社員に対して、アナタは高圧的に接し、クビをちらつかせて脅しをかけることも日常茶飯事。もううんざりなんですよ」
末鬼「言うじゃないかぁ、上蒸ぉ……たしかに、ウチの会社は沈みかけだぁ。だがそんな会社に居残り続けてるお前のような連中は、他に行く宛てのねぇボンクラどもだ、違うかぁ!?仕事があるだけありがたいと思って文句言わず働けぇ!24時間365日なぁ!」
上蒸「そんなこと労働基準法で認められていない!」
末鬼「会社経営を将棋に例えるなら、俺は棋士でお前らは駒!ただの駒が権利だの法律だのとごちゃごちゃ言うな!お前らは黙って棋士の指示した通りに動けばいいんだ!俺に逆らう資格なんてアリの眼球ほども存在してねぇんだよぉ!」
上蒸「人の心を失ったブラック経営者が」
末鬼「……1つアドバイスをしてやろうじゃないか、上蒸。経営者に対して『ブラック』なんて付ける必要はないぞ。ブラックじゃない経営者など地の果てまで探してもいない。『(ブラック)経営者』と省略されているのだ」
上蒸「ぐっ……このウ⚫︎コマン!」
末鬼「言うに事欠いて搾り出した罵声が『ウ⚫︎コマン』とは笑わせる!追い詰められて幼稚園児並みの思考回路になってるようだな!だがそれで良い!余計なことを考えるな!ただ目の前の仕事を文句を言わず!時間を惜しまず!金を欲しがらずこなしてればいい!お前らに求めるのはそれだけなのだぁ!」
末鬼は水鉄砲の銃口を上蒸に向ける。末鬼の横からジリジリと末鬼に近づく液野。
その最中、液野の足元で息絶えていたはずのボクサーパンツ社員が立ち上がった。しかし体は横たわったまま。魂だけの存在となって、体から抜け出たのだ。
男性社員「あれ?俺……死んで……」
両方の口角を目尻とくっつきそうになるくらい上げて笑う末鬼。
末鬼「なるほど、死んで幽霊になるのは俺だけじゃないようだなぁ。しかも幽霊は法律の対象外……ヒェへへへへ、つまり労働基準法は意味をなさないってことだぁ!そしてぇ!」
幽霊になったボクサーパンツ社員に向かって水鉄砲を5発連射する末鬼。水が貫いた箇所が円形に霧散し、ボクサーパンツ社員の全身が10秒足らずでその場から消え去った。
末鬼「はっはっはぁっ!この水鉄砲、幽霊でも殺せる威力のようだなぁ!ならば、やることはただ1つ!」
末鬼は体を反転させると、背後に回り込んでいた液野の眉間を水鉄砲で撃ち抜いた。仰向けで床に倒れる液野。
末鬼「社員全員ぶっ殺し、幽霊にして無限に働かせる。逆らうヤツは再び殺す。これで末鬼玩具を再興できるぞ。さぁ皆の者、引き続き仕事をたっぷりくれてやる。喜べ」
末鬼は室内にいる社員たちに向かって水鉄砲を乱射。逃げ惑う社員たちの体を次々に高速の水流が撃ち抜く。開発室は一瞬で血の海と化した。
末鬼「この水鉄砲をチンケだと言ったことは詫びる。素晴らしい出来だ。ブラック企業が作って水鉄砲ということで、製品名は『ブラックウォーターガン』にしよう。見た目はオモチャだが高い殺傷能力を持ち、弾丸はただの水だから低コスト。欲しがる人間は世界にごまんといるだろうな」
わずかに息があった上蒸が床を這いつくばり、末鬼の右足首を掴む。
末鬼「……これからブラックウォーターガンの量産体制を作る。上蒸、お前もみんなと一緒に永遠に働くんだから、さっさと死んで幽霊にならなきゃダメじゃないか」
末鬼は上蒸の頭を撃ち抜いた。
<ブラックウォーターガン-完->
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