終結
2杯、3杯、4杯とウイスキーを飲み干していく
ポコポコ「わ、わざわざステルス爆撃機まで使って……俺を負傷させたのは、限界まで追い込んで……このサシ飲み勝負を受けさせるためか……?うぉえっ」
撃山「ああ……元気いっぱいのお前が相手じゃ……ゔえ……こっちが一方的に殺されて終わりだからな……飲み勝負を受けるしかお前に勝ち目がない状況を作りたかった……うっぷ」
5杯目のウイスキーをグラスに注ぐ撃山。
撃山「成仏する前に聞かせろ……お前は友達を集めて何をしようとしていた?おえっ」
ポコポコ「ふーっ、んふーっ、友達を作るのに……理由なんか要るか?」
撃山「クソッタレ……もっと壮大な悪事を計画しとけ……うえっ……俺らが悪者みてぇだろ」
ポコポコ「自覚あるんやな……俺から友達を奪うお前らは……おぼぉえ……悪だ」
撃山「この際、悪でも何でも構わねぇ……俺はお前が乗っ取ったその体……
ポコポコ「戻すとか言うな……吐きそうになる」
5杯目を飲み干す撃山。続けてポコポコも飲み干す。
撃山「ヤベェ……もう限界だ……意識が……」
ポコポコ「もう耐えられん……成仏してま……」
ポコポコが仰向けに倒れる。続けて撃山が左半身を下にして倒れた。
ポコポコ「タ、タッチの差やな……俺の負けや……やっぱ一気飲みとか、飲み比べなんて絶対やったらアカン」
ベッドに腰掛けながら観戦していたキョウカが立ち上がる。
ポコポコ「キョウカ……ちゃん……」
キョウカ「手出し無用なんでしょ?アナタと友達をやるのはここまでみたいね。今までどうもありがとう。それなりに楽しかった」
ポコポコは目と口を大きく開く。口からドス黒い邪気が大量に放出される。邪気は部屋の天井を伝い、窓から外へ。そのまま空へと煙のように昇っていった。
邪気を全て吐き終えると、
キョウカ「行こう。ストロベリー」
どこか悲しげな表情を浮かべる愛犬の頭をひと撫でし、部屋を出ようとするキョウカ。その左足首を、倒れたままの撃山が掴む。
キョウカ「……なに?」
撃山「きゅ、救急車……」
キョウカ「……分かった」
キョウカの足首を掴む撃山の手の力が抜けた。
−−−−−−−−−−
ポコポコとの戦いから2週間が経過。
戦いで傷ついた
ポコポコとのサシ飲みに勝利した撃山は、駆けつけた救急隊員の手で服来とともに病院へ搬送。急性アルコール中毒で入院し、翌日には退院となった。
意識を取り戻した服来の体から、ポコポコは完全に消え去っていた。しかしポコポコが引き起こした数々の事件は全て服来の体で行われていたため、服来は容疑者として逮捕、拘留されることに。
東京拘置所の面会室。透明のガラスを越しに向かい合う撃山と服来。撃山は相変わらず車椅子のまま。服来は上下灰色のスウェットで無精髭を生やし、髪は脂でベタついている。撃山が放った
服来「撃山さぁ〜ん!ボク、有罪になってしまうんでしょうか〜!?死刑でしょうか〜!?何とかして下さいよぉ〜!」
撃山「安心しろ。今、怪異事件に強い弁護士を探してる!必ずお前を無罪、いや執行猶予付きの有罪判決にしてやるから!」
服来「そこは無罪って言い切って下さいよぉ〜!っていうか撃山さんも拘置所にぶち込まれるべき人でしょぉ〜?」
撃山「静かにしろっ!色々バレたらどうすんだっ!とにかく俺を信じて待て。だが、最高裁まで戦う覚悟はしておいてくれ……」
−−−−−−−−−−
とある海辺の崖の上。遠い海の向こうを眺めるキョウカとストロベリーの姿があった。
その足元の地面には、黒いマジックで「ポコポコの墓」と書かれたアイスの棒が刺さっている。
<VS ポコポコ-完->
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