ホスピタル・クライシス③

撃山うちやまは車椅子を180度回転させながら、右の肘掛けに取り付けた拳銃のトリガーに指をかけ、看護師に向かって発砲する。装填していた15発全てを看護師の胴体に当てた。



撃山「厄介な患者に当たっちまったなぁ姉ちゃん!俺ぁ怪異を殺すプロだ!」



看護師はギギギギという 歯軋はぎしりのような、声にもならない叫びを上げ、のたうち回る。看護師の体を包んでいた火が辺りに燃え移り、暗かった廊下がオレンジ色の光で照らされる。


ゴロゴロと床を転がったことで看護師の体にいていた火が消えた。焦げ臭い匂いを放ちながらスクリと立ち上がる看護師。ほぼ全身の皮膚が焼けて筋肉が露わになり、身体のあらゆる箇所に銃弾が貫通した穴が空いている。が、うっすらと笑みを浮べ、 余裕綽々よゆうしゃくしゃく



看護師「アナタ頭もおかしいようですねー。頭蓋骨をかち割って脳をイジる手術もしないとダメですねー」


撃山「今までの霊は弾丸を当てれば霧散したのに……まさかポコポコが復活して、その邪気の影響で怪異たちもチューンアップされてやがるのか?」



ゆらゆらと燃え盛る火の中をゆっくり歩き、看護師は撃山へと近づく。



看護師「私の手術ー。痛いですよー。一瞬では終わらないですからねー」


撃山「クソッタレ!これは使いたくなかったが、やるしかねぇか!」



撃山は左のフットサポートを踏み、間髪入れずに右のフットサポートも踏む。車椅子のターボエンジンが起動。撃山の背後から炎が上がる。


尻に力を入れ、左斜め前方に大きくジャンプし車椅子から飛び降りる撃山。車椅子はターボエンジンの勢いで急発進し、一直線に看護師へ突っ込んだ。



撃山「右のフットサポートはターボエンジンの起動スイッチ。左は座席の下に設置した、シゲミ嬢ちゃんお手製C-4の時限起爆スイッチだ! 食いやがれイピカイエー!」



看護師の体を押してミサイルのように突き進む車椅子は、廊下の最奥の壁に激突した。直後、座席の下に設置してあるC-4が起動。大爆発を起こして看護師をこの世から完全に消し去った。



−−−−−−−−−−



翌日 AM 10:30

診察室

医師「いやーここ最近、入院患者の死が続くのでおかしいと思ってました。が、まさか看護師の幽霊が患者を殺し回ってただなんて」


撃山「おかしいと思ってたなら何かしら対処しろよ」


医師「これで患者様に当院を安心して使ってもらえます!撃山さんのおかげです。死亡した患者様については警察に報告しましたが、病院の火事と爆発は関係の無いただの事故だと伝えましたから」


撃山「そうかい。そりゃ助かるわ」


医師「代わりに、撃山さんが壊した物品や設備は弁償していただきますね。請求額は3億9540万6800円です」



<ホスピタル・クライシス-完->

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