シゲミ、叱られる(全1話)
シゲミ、叱られる
風呂から上がり、ピンク色のパジャマ姿で自室に入るシゲミ。そして、シゲミから見てすぐ右にある学習机の上に置いたスクールバックに手を入れ、球状の金属を取り出した。手榴弾だ。
先日、英語講師のフリをした殺人幽霊と戦った際、小規模な爆発で敵を殺傷させられる武器が必要だと感じたシゲミ。人には言えない特別なルートで手榴弾を仕入れた。
指で手榴弾を触りながら、シゲミは不敵な笑みを浮かべる。これからはC-4だけでなく手榴弾も常時持ち歩き、奇襲に対応できるようにする算段だ。
???「シゲミ……」
突然、シゲミしかいないはずの部屋の中に男の声が響く。
???「シゲミ……ワシだ……」
部屋の中心あたり、床から白いモヤが上がる。モヤは段々と一人の老爺へと変わった。
シゲミ「ジジ
驚きの声を出すシゲミ。シゲミの祖父は5年前に老衰で他界し、この世にいるはずがない。シゲミは手に持った手榴弾のピンを引き抜こうとする。
祖父「やめんかバカたれ!実の祖父を爆殺する孫がどこにおる!」
祖父の一喝でさらに驚いたシゲミは、ピンから手を離し手榴弾を机の上に素早く置いた。
シゲミ「ジジ上……何の用?」
祖父「お前に言いたいことがあってな……とにかく座れぃ!」
祖父はより一層語気を強めた。その言葉から強い怒りを感じ、シゲミは床に渋々正座をする。
祖父「最近のお前の仕事っぷり、ずっと見ていたぞ。だが実にお粗末!プロとしてあるまじき質の低さじゃ!」
シゲミ「覗き見してたの?このド変態!」
祖父「たわけ!お前はもう立派な幽霊暗殺者じゃと思っていた……なのになんて有り様じゃ!以前、中学校を爆破したな?よりにもよって同級生の目の前で!」
シゲミ「あのときは仕方なかったの。同好会の活動中だったから……」
祖父「幽霊暗殺者の仕事は誰にも知られるべからず!人前で行うなど言語道断!それからコックリさんを呼び出しとったな?」
シゲミ「あれも同好会の活動で……」
祖父「幽霊を駆除する暗殺者が呼び出してどうする!トモミが駆けつけたからなんとなかったものの、同級生を殺しかねなかったぞ!」
シゲミ「それは……ちょっと反省してる」
祖父「そして幽霊の群れを村ごと爆撃しとったな!目立ち過ぎじゃ!……まぁこの件はハルミにも責任はある。が、お前は逃げられたのに欲をかいて幽霊どもを始末しようとした!結果、大惨事じゃ!」
シゲミ「あの村を放置してたら、もっと犠牲者が出てたかもしれないし……」
祖父「
シゲミ「……ごめんなさい」
祖父「まぁ、ワシがいくら言っても、お前の心には1ミクロンも響かんことは分かっておる。じゃから、ポコポコ様をお呼びしようと思う」
シゲミ「ポコポコ様!?」
不貞腐れていたシゲミの表情が青ざめる。
シゲミ「お願い!ポコポコ様だけはやめて!もうジジ上の説教だけで十分反省したから!次に仕事するときは注意するからぁ!どうかポコポコ様だけは!やめてぇ!」
祖父「ダメじゃ。お前には灸を据えねばならん。ポコポコ様、ポコポコ様……どうかその姿を現したまえ……」
シゲミ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
翌日から3日間シゲミは学校を休んだが、その理由は誰も知らない。
<シゲミ、叱られる-完->
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