悪魔祓い③
レラ「……できるか分からない。やってみるけど……モズクッべしらっちゃあぁぁぁっ!」
レラの顔の右半分が、目が大きく開き濃いクマのできたデルチの顔に変形する。
レラ&デルチ「できた」
初老「おお。すごい。まるで練馬区と新座市の境目みたいだ」
口の右側だけが動き、話し始める。
デルチ「エクソシストよ、悪霊の口車に乗せられるな!貴様は悪霊に加担し、今を生きる人間を苦難に陥れるつもりか!?そんな者がエクソシストを名乗れるのか!?」
左側の顔面が反論する。
レラ「黙れゴリラ!」
デルチ「何だと!?たしかに以前はゴリラのような体格だったが、お前が取り憑いたせいでガリガリになり、今ではすっかりワオキツネザルだ!俺をゴリラ体型に戻せ!」
レラ「冷蔵庫にあるドクターペッパーをがぶ飲みすればすぐに戻るんじゃない?それよりエクソシストさん、アナタは悪魔を
初老「う〜ん」
左右の顔面の口論は止まらない。
デルチ「仮にエクソシストが俺を祓ったとして、貴様はどうするのだ、女!俺の体を奪って生きていくのか!?手が血で
レラ「人間生きてナンボよ!どんな体になってでもアタシは生きたい!そしてアンタの人生に当て付けるみたいに、これからは慈善活動に励んでやる!手始めに、アンタの貯金を全額コンビニの募金箱にぶっ込むの!」
デルチ「俺の持っている金は全て殺人で稼いだもの。そんな汚い金を募金されて、貧しい国の人々が喜ぶのかねぇ!?」
レラ「犯罪者が正論言うな!このおが
左手で自身のアゴを触りながら、口論する顔面を見つめる初老男性。
デルチ「エクソシストよ!決心はついたか!?何を迷うことがある!?いつも通りの仕事をすればいいのだ!」
レラ「この殺人鬼を祓うことを後ろめたく思う必要はないわ、エクソシストさん!迷わないで!アナタの良心に従えばいいだけよ」
初老男性はローブのポケットから黒い手袋を取り出し、右手にはめる。
初老「迷う……か。たしかに私は迷っているな。だが、キミらのどちらを祓うかなんてことではない。その結論は、私の中でとっくに出ている」
足元のトランクを持ち上げ、ドスンと机の上に置く初老男性。レラとデルチからは中身が見えないようにトランクを開ける。
初老「私はね、これを使うかどうかで迷っていたのだ」
初老男性は手袋をはめた右手をまっすぐ伸ばし、視線の高さまで上げる。その手には
初老「私ができる悪魔祓いは、この方法だけだ。エクソシストではないのでな。なんか、ずっとエクソシストだと勘違いしとったようだが、そう名乗った覚えはない。そもそも信じている神が違うのだ」
初老男性は立ち上がりながら銃の消音器を外すと、イスの背もたれに頭を乗せて息絶えているレラだかデルチだか分からない死体に近づき、その右手に銃を握らせた。
初老「悪魔に取り憑かれているという幻覚を見て錯乱し、自殺したってことで。しかし人を殺すのは何回やっても慣れないな。また少しためらってしまった。おお、我が神・ポコポコ様よ、これで22回目ではあるが、私の行いを許したまえ……」
<悪魔祓い-完->
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます