異文化交流暗殺③
PM 9:15
2年C組の黒板に近い扉を開け、教卓に向かって歩くロバート。テニス用のラケットバッグを背負っている。教室の真ん中あたりの席に座って本を読んでいたシゲミは、ロバートが教室に足を踏み入れたのを確認し、本を閉じてイスから立ち上がった。教卓に両手を付き、話し始めるロバート。
ロバート「遅くまで待たせてSorry!ほら、この時間なら生徒はみんな帰ってますし、いるのは残業してる先生くらいデスから、Ms.シゲミも爆弾を使いやすいと思いまして!」
シゲミ「私のこと、よく知ってるみたいね」
ロバート「アメリカの幽霊界隈でも、アナタは有名人デース!C-4プラスチック爆弾でビルディングごと幽霊を吹き飛ばす殺し屋ってネ!おー怖ッ!」
シゲミ「ならアナタについても教えてくれないかしら?聞きたいことが3つあるの」
ロバート「Of course!生徒の質問に答えるのも、先生の仕事デスから!」
シゲミ「1つ目、アナタは何者?」
ロバート「私は3年前、アメリカで死刑になった犯罪者デス。とにかく強そうなチンピラやマフィアを殺しまくってたら、連続殺人の罪で逮捕されちゃいましてネ。電気椅子で死にました。でももっと強いヤツをぶっ殺したいという想いが消えず、魂だけがこの世に留まってしまったのデース!」
シゲミ「殺人中毒者ってわけね。2つ目、アナタは幽霊だけど実体がある。それは何故?」
ロバート「まだ公になっていない殺人鬼のボディに憑依しました!ティーチャーとしてアナタに接触するために、生きた人間のボディが必要だったのデス!死んだままじゃ、手続きだのなんだのができませんからネ!」
シゲミ「そう。3つ目、昨日私と友人を襲った悪魔はどうやって持ち込んだの?」
ロバート「アメリカに伝わる儀式をやりました!人間1人を生贄にすると悪魔を1体呼び出せる、等価交換の儀式デスね!悪魔を使って、Ms.シゲミが戦うに値する実力者か力量を測ろうと思ったのデスが、全然相手になりませんでした!使えない虫ケラどもデース!」
シゲミ「質問は以上。答えてくれてどうもありがとう。で、私を殺したいんだったわよね?」
ロバート「That's right!でもそう簡単に殺せるとは思ってまセーン!だからボクなりにいろいろ考えました!もしアナタがこの学校を爆破すれば、大ニュースになりマス!そうすれば殺し屋業が明るみになって、仕事ができなくなるどころか、ムショ行きデス!」
シゲミ「たしかに、それは困るわね」
ロバート「つまり学校ではお得意のC-4が使えない!」
ロバートは背中のラケットバッグを教卓の上に置くと、ジッパーを下ろし、右手をバッグの中に突っ込んだ。対するシゲミは、机の上に置いていたスクールバッグを左肩にかける。
ロバート「Ms.シゲミ、アメリカと日本の一番大きな違いは何だと思いますか?それは、ショットガンが簡単に手に入るかどうかデス!日本でコレ見つけるの、とても苦労しました。だから日本は嫌いデス」
バッグから漆黒のショットガンを取り出したロバートは、シゲミに向かって発砲する。シゲミはしゃがんで机の陰に隠れ、散弾を防いだ。ショットガンの持ち手をスライドさせ、排莢するロバート。
ロバート「ショットガンでナイスショット!私の好きなテニスとかけたジョーク!どうですか!?面白いでショウ!?笑っていいんデスヨ!」
ロバートは2発目を発砲。シゲミはしゃがんだまま素早く机の間を縫って、教室の後ろの扉まで移動する。ロバートが再度排莢した直後、教室の黒板側の入口から、間倉が顔を出した。ショットガンの発砲音を聞き、残業中に様子を見に来たのだ。
間倉「ロ、ロバート先生……何ですか今の音……?」
ロバート「生徒との異文化交流ですヨ!Ms.間倉、せっかくならアナタもアメリカの風に当たりなサーイ!ただしアメリカの風は散弾入りですけどネ!」
ロバートは間倉に向けてショットガンをぶっ放す。散弾を浴びた間倉の体中に小さな穴がいくつも空いた。穴から血が吹き出し、その場に倒れ込む間倉。
ロバートはシゲミがいた方向に向き直るが、すでにシゲミは教室内におらず、姿をくらましていた。
ロバート「
ロバートは再びショットガンの持ち手をスライドさせ、教室から廊下に出た。
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