廃村暗殺③

10分後、鮫神村上空。夜空よりもさらに暗い漆黒の航空機が飛来する。軍用のステルス爆撃機だ。コックピットで操縦しているのは、シゲミの祖母・ハルミ。


ハルミ「全く困った子たちだ。後始末が大変だってのに。けれど、かわいい孫の頼みなら仕方あるまい。鮫神村とやら、地図から消させてもらおう」


ステルス爆撃機から、大量の爆弾が鮫神村とその周辺に投下される。轟音とともに建物がすべて燃え上がり、村全体が大きな爆炎に包まれた。爆発の振動がシゲミたちのいる防空壕の中にも伝わる。カズヒロは防空壕から顔を出し、遠くで繰り広げられる爆撃を眺めた。


カズヒロ「す、すげぇ……!あれ、シゲミのばあちゃんがやってんのか……?まるで戦争じゃねぇかよ」


シゲミ「中に入ってて。ここも巻き込まれるかもしれないから」


直後、防空壕が大きく揺れる。付近に着弾したのだ。


サエ「マ、マジでヤバくない?シゲミのおばあちゃん」


シゲミ「昔からこうなの。暗殺とは呼べないほど派手にやるから」


トシキ「ボク絶対にシゲミちゃんとそのご家族には逆らわないことを誓うよ。完全な下僕になってもいい」


爆発と炎が、村中の幽霊を飲み込む。女将の幽霊も、ガトリングガンを持った男の幽霊も熱で消滅した。


村長「そ、そんな……ワシの村が……仲間たちが……」


村長にも爆弾が直撃。業火がその身を焼き尽くした。


およそ15分間の絨毯爆撃じゅうたんばくげきの後、全焼した村に消火剤を撒き、ハルミが操縦するステルス爆撃機は飛び去っていった。


シゲミ「ありがとう、ババ上。お礼にマンゴーフラペチーノ買って帰るね」


スマートフォンで祖母にそう伝えたシゲミ。4人は防空壕を出て鮫神村へと戻った。村には誰一人としておらず、残っているのは焼けて炭になった家屋のみ。


トシキ「助かった……でもどうする?泊まるところないよ?」


サエ「まさか野宿!?えーマジやなんだけど!虫とかヘビとか出たら最悪!」


カズヒロ「幽霊になるよりマシだろ〜。シゲミ、何から何まで頼って悪いんだけどよ〜、何か野宿に使えそうな道具持ってない?」


シゲミ「別に何も」


<廃村暗殺-完->

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